最終話 推しているVtuberがガチで神だった件
■自宅
うずめちゃんとのデート当日。
俺は部屋を一通り掃除して、リビングで時間になるのを待っていた。
カチカチと時計の針の動く音がこの瞬間だけはやけに大きく感じる。
ピンポーンとチャイムが鳴ると、俺は玄関まで行き、のぞき窓から外を眺めた。
そこには俺がデザインした深い紺色の浴衣を着たうずめちゃんがいる。
細かいアクセサリーまで、ちゃんと再現されていてすごかった。
「あれ? サルヒコママは寝てるのかな?」
おっと、ぼーっとうずめちゃんを眺めていたので心配されている。
すぐにドアを開けてうずめちゃんを部屋へと入れた。
俺の隣を通っていたっとき、ふわっといい匂いがする。
リビングではなく作業部屋のほうへ入っていく。
「ああ、ちょっとそっちはあんまり片付いていないですっ」
「わぁ、ここで私のデザインが生まれたんだね~」
ベッドとパソコンと本棚がこじんまりとまとまった部屋を見たうずめちゃんが楽し気眺めている。
本棚の上の方は本ではなく、ちょっとエッチなフィギュアが並んでいてちょっと恥ずかしかった。
「あのね、サルヒコママにはね。本当に感謝しているの」
ベッドに腰かけたうずめちゃんが俺の方を見て、照れ臭そうに話す。
「Vtuberをアマテラス様に言われて始めてみたけど、誰も来なくて不安だったけど、サルヒコママは昔から応援してくれていたから私は続けられてきたんだ」
「俺もうずめちゃんと一緒だったから、大学に行けたし……夢だったVtuberのママにもなれたこと感謝しています」
この3か月あまりでVtuberのママになってグッズのデザインもして、夢として思い描いていた未来がかなっていた。
うずめちゃんもこれから多くの人をファンにしていってほしいし、その手助けをしたい。
だって、俺はうずめちゃんのママなんだから……。
「この後はハロウィンもあるし、クリスマスやお正月もあるから、サルヒコママには一杯私を描いてほしいな♪」
「天原さんから依頼を貰ってお金を貰えるなら、頑張って描いていきます」
うずめちゃんが笑顔を見せてくれたので、俺も笑顔を返した。
「あ、でも胸を出して踊るなんて、はしたないことはしないからね! 今この時代でやったらBANされちゃうから!」
「いや、そんなの言われなくてもやらないってわかっていますよ……」
うずめちゃんとの楽しい時間を俺は過ごす。
ああ、本当に俺の推したVtuberはガチで神だったんだ。
完
【完結】推しているvtuberがガチで神だった件 橘まさと @masato_tachibana
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