第二十三話

 あなから出てみると、そこは穴ができた神社じんじゃの横だった。やっと、帰ってきた。生きて帰ってきた、地球に。そう思うとダンジョンの冒険ぼうけんが、なつかしくなった。もう一度、行ってみたいとさえ思ってしまった。


 でもそれは、もうできない。僕と直道なおみち見守みまもっていると、穴はドンドン小さくなって消滅しょうめつしたからだ。そして僕と直道は、おたがいを見て同じことを言った。

「「あ、ふくが元にもどってる!」」


 そして僕たちは、笑いあった。これでもう、冒険は終わりなんだな……。すると僕は、ふと考えた。一体いったいあのダンジョンに、何時間いたんだろう? スマホを取り出して時計を見てみると、僕たちが穴に入った時間とほぼ同じだった。


 理由はよく分からないけど、これで良かった。もし何時間もぎていたら、きっとお母さんとお父さんは心配しんぱいするだろうから。すると直道は、あやまってきた。


「ごめん、純貴じゅんき君。ダンジョンではいろいろ、ひどいことを言っちゃった……」

「いやいや、もう気にすんなって! こうして僕たちは無事ぶじに、地球に帰ってこれたんだから!」

「うん、そうだね……」


 そうして僕たちはまた、無事に地球に帰ってきたうれしさをかみしめた。そうすると直道は、話しかけてきた。

「ねえ、純貴君。僕たちまた、一緒いっしょに遊ぼうよ!」

「え? でもお前、じゅくがあるんじゃ?」

「確かに月曜日から金曜日までね。そして土曜日はつかれて休んでるんだけど、日曜日があるよ。日曜日にまた、一緒に遊ぼうよ!」


 少し不安ふあんを感じた僕は、聞いてみた。

「いいのか、また僕と一緒に遊んでも?」


 すると直道は、満面まんめんみで答えた。

「うん! だってやっぱり純貴君と遊ぶと、楽しいから!」

「そうか……」

「それじゃあ今度の日曜日の午前十時に、ここに集合しゅうごう!」

「うん、そうしよう!」


 そして僕たちは、歩き出した。大きな道に出ると、直道は塾に行くために左に曲がった。僕は家に帰るために、右に曲がった。


 さあ、今度の日曜日は直道と何をして遊ぼうかな? ダンジョンでの冒険を思い出して、たくさん話そうかな? そう考えていると今度の日曜日が、今からどおしくてワクワクした。


                             完結


 ●


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【完結済】え、ここってダンジョンだったの?! 久坂裕介 @cbrate

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