舞と不思議な江戸番傘
月兎アリス
第1話
四季を問わず需要のある雨具だけれども、初夏から夏にかけては特に増えた。その理由は明確で、梅雨のせいだ。
日も落ち、山あいの里はすっかり暗くなった。
田舎の夜道を歩く人は少なく、代わりに自動車のヘッドライトが夜の闇を照らしていた。水を張った
佐久良雨具店は、静かな国道沿いの曲がり角にあった。
「おおい、舞!」
「なんですか、ばさん?」
老女──佐久良キヨヱに呼ばれた舞が、階段を駆け下りる。体格に恵まれず、体重も軽い舞の足音は、本当に十四歳なのかと疑うほどに小さい。
そのとき一瞬、二階の工房、老父、徹志の仕事部屋の隅が、光った気がした。結構まばゆい。到底見間違いとは思えぬくらいに。
舞はそれに気づき足を止めたが、(ばさんを待たせたら怒られちゃうなぁ)と思い、すぐにまた駆けて行った。
舞と不思議な江戸番傘 月兎アリス @gj55gjmd
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