静謐の中に立ち昇りては、消え行く溟。
- ★★★ Excellent!!!
不思議な胸騒ぎに市松人形を放り出して、
その嗅覚を研ぎ澄ます。まだ それ を
胸騒ぎとも知らぬ程に幼気な子は、仏間で
不思議な光景を見る。
静謐さの中、湧き上がる混沌を ただ
凝っと見つめる。
線香の匂いが漂う仏間の静けさ。
悲しみが満ちる、色のない仏間の中で
線香の細く黒い煙だけが鮮烈な色彩を
放っている。
あれは、一体何なのだろう。
最期に見たものは白い布で覆い隠される。
黒い線香の匂いと共に。