第6話 仕事は仕事
就職先が無事に決まり
まだ、特に
人間関係に関してはほぼ慣れてはいないが、仕事面でやる事はだいたい分かってきた。
私はPCの資格を多く持っていたため、デスクワークは好きだった為に
また、好きな洋服の通販サイトの運営に携われることは、心から嬉しかったと言える。
洋服は、私を 自分を
好きにさせてくれるものの一つだからだ。
好きな服と似合う服は違う。
理想と現実位 違うこともある。
それでも、だからこそ好きで似合う服を見つけた時の喜びはひとしおだ。
私は仕事に没頭した。
いくら男の人が苦手とはいえ 業務に携わる仕事内容の会話は苦ではない。
食堂はあるが、
ランチタイムは基本的には1人でお弁当。
入ったばかりで、誘われたことも1.2度あったが
断った。
1人に慣れた方が楽。周りにもそう認識してもらった方が楽に仕事ができると思った。
1人でご飯は、全く苦にならないし、その事で誰に何を思われても良かった。
そして、退勤時間になると、
副業のために足早に会社をあとにした。
家に一旦帰り、
簡単にメイクをなおし、
服装は必ずスカート。これは、お店の規定として決められている。
……スカートに着替えて、私は自宅へ来る送迎の車を待った。
携帯を開く。
鍵のついていない、SNSを開く。
私のアカウント名は”清涼飲料水”。
水さんなどと呼ばれていた。
せきららに、自分が性被害者であることや、風俗で働いていることを暴露しているアカウントだ。
昼職については一切触れず、身バレ対策はしていた。フォロワー数は10000人以上居た。
その殆どが、風俗に携わっている女の子だったり、スカウトと呼ばれる仲介者であったりした。
また、同じように性被害にあったフォロワーさんも一定数いた。
私はここを心の拠り所にしていた。
話せるわけも無いことを、話せる。
ここがあるから救われる。
そう思える場所。
顔も知らない人とだって優しくし合える。
本当の私を知られずとも、他人は優しくしてくれた。
癒される場所だった。
リプへの返信が一通り終わると
私ははぁ、とため息をはいて、ベットに仰向けに寝転んだ。
あれから、あの中性的な男性とは接点はない。
1度、他の女性社員とランチに誘われた。
それを断って以来、会話もほとんどしていない。
それでいい。
その程度でいい。
その日の副業は、仕事自体が暇で
電話のならない日というやつだった。
ときたまあるのだ、たまたま暇と言うやつは誰にでも、どこででも。
私はそれを理解していて、
それは、他者への嫉妬へは絶対に繋がらない。
ほかの女の子が呼ばれるのなら、それはいいことだと思った。
女の子が得をすることは、悪いと考えたことがない。
だからそれが私じゃなくても
それでよかったし、
自分は自分でしかなく、他者はあくまで他者だった。
個室待機室で、好きな洋服を見たりして過ごし、その日は誰にもつかずに帰りの時間となった。
「ごめんね、今日は1人もつけてあげられなくて……」と帰りの送迎でスタッフが言うのを聴きながら、「大丈夫です。そういう日もありますから。」と笑顔で答えた。
正直、お金目的でこの仕事をしていない私にとって、死活問題にはならないことであったからこそ作れた笑顔だ。私は恵まれている。
そう言い聞かせてもいた。
家の前で車が止まり、私はそのまま部屋へ上がり
シャワーを浴びた。
まず、副業から帰ったらすること。
シャワーである。
潔癖症では、、ないとは思うが
仕事があってもなくても私は必ず一番にシャワーを浴びる。
全身を綺麗にしないと、
私の大好きな布団に入る資格がない気がする……
そんなふうに考えていた。
ドライヤーを終えて暗い部屋の中ゴロンと布団に横になり携帯を開く。
「しごおわの民です。今日も、おつかれさまでした」
そう投稿して
すぐに、眠気が襲ってきた。アラームかけなきゃ……と一度目を開けた。
フォローされていない、知らないアカウントからとある気になるDMが来ていた。
その内容は
「女性風俗に興味はありませんか?」
であった。
私はその存在を知っていた。結構です、と返信をしようとしたが眠気に勝てず
そのまま暗闇に落ちるように、
その日は深く眠った。
男嫌いの私が男を好きになれるまで 根無し草 @tonono1114
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