今年の角川つばさ文庫小説賞の応募作品を漁っている中で、ひときわ興味をそそられていた本作。
「人魚の店主が営むお風呂屋さん」という設定が抜群で、気になる度は全ての応募作の中で群を抜いていた。
そして、実際に読了してみて全く期待を裏切らない面白さだった!
様々な種族があたりまえに登場する世界観は不思議と心が温かくなったし、主人公の明るい性格も児童文庫らしくて読んでいて楽しかった。
伏線回収や父親との関係の心理描写など細部まで気を配られていて読んでいて安心感があった。
それから、植物や宝石の名前がたくさん出てきて、もし子供が読んだらすごく勉強にもなるだろうなとも感じた(私も知らない花の名前が結構出てきた)。
一番気に入ったのが茶々という名前のカワウソで、とにかく愛くるしい。
キュ!という鳴き声が可愛いし、なぜか普通に掃除を手伝えたりするのもめっちゃいい。
もし、本作が角川つばさ文庫小説賞を受賞して書籍化されたらこんな感じのイラストの表紙になるだろうなぁ、というのが容易に想像できる。