第30話

ついに卒業式を迎えることになった。期待を胸に膨らませながらも、高校生活をちゃんと送れるかという不安な気持ちを抱きながら入学式を迎えたあの日から、あっという間に約3年という月日が流れてしまった。クラスでの様々な出来事があったこともあり、同じ3年間でも高校の3年間の時間の流れは、とても早く感じた。

様々な友人との出会い、学校祭の準備、検定勉強、生徒会選挙出馬、脚本家への夢……思い出いっぱいの高校生活だった。寄せ書きには、『ノートありがとう』『夢に向かって頑張って』といったコメントをくれた。

ほぼ同じ顔ぶれで過ごした3年間が今日で終わってしまうことがまるで嘘のようで、それを考えるだけで悲しくもなってきた。卒業式の中で、僕は早い段階で涙が出そうで、ずっと堪えていた。泣かないようにしようとしたが、退場のタイミングで限界が来て、ついに涙を流してしまった。


式が終わると、教室で担任の先生が最後の挨拶を述べた。1年生と3年生と、2回担任でお世話になり、友人たちの謹慎騒動では何かと迷惑をかけ、僕自身も進路変更や検定勉強などでお手数をおかけしてしまったことがあった。この先生ともお別れである。目を潤ませながら挨拶をする先生の姿に、僕も思わずもらい泣きをしてしまった。

最後の集合写真で、僕は先生の隣に座った。こんな特等席はないだろう。そして、僕の周囲にはクラスで助け合った友人たちが並んだ。これで、本当に高校生活は終わってしまったのである。

その夜、途中で学校を辞めたKを含め、友人たちが回転寿司店に顔を揃えた。早速、髪を染めてピアスをつけた友人がいたので、僕は思わず仰天した。楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこと、大変なこと……とにかく盛沢山の中で過ごした高校生活は、僕にとっては充実したものだった。それと同時にクラスメイトとの別れは辛いもので、またみんなと会おうと思いながら、食事会をいつまでも楽しんでいった。

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男、突っ走る!(高校生篇) 壽倉雅 @sukuramiyabi113

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