第29話
年が明けて間もなく、ITパスポートと情報処理検定の試験が終わった。情報処理検定はプログラミング部門1級を受け、これが合格していたら、情報処理検定ビジネス部門1級とビジネス文書実務検定1級と併せての3冠だったが、残念ながら今回受けた検定は僅かに点数が足りず、2冠で終わってしまった。だが、正直結果よりも、僕は長い検定勉強からの解放感のほうが大きかった。
それからしばらくして、専門学校の新入生オリエンテーションが行われ、僕はどんどん専門学校での新しい生活が始まることを実感した。また、私鉄と地下鉄を乗り継いで約1時間半という通学が3年間も続くことを考えると、これまで自転車通学しか経験のなかった自分に、その通学環境に慣れるのかという不安もあった。
2月初め、近くの小学校への出前授業という企画が行われた。4年生を対象に、僕ら3年2組の生徒がパソコン操作を教えるというものだったのだが、何故か既に僕には『SV(スーパーバイザー)』という役割が与えられていた。俗にいう全体を統括する総監督ポジションで、どうやら情報系の先生方満場一致で決まったそうだ。
企画当日、クラスメイト達はそれぞれ小学生に付き添ってパソコンを教えている。僕は全体を見て随時判断をし、タイムキーパーや写真撮影係の役割を与えられたクラスメイト達と連携をしていく。1組、2組と2クラスの小学生を教えた後、僕は最後の締めの挨拶をすることになった。この企画が3年間の集大成であった。みんなが助け合い、連携ができたことでトラブルが何一つなく行うことができたことに対して、僕は感謝の言葉を述べた。
出前授業の企画の様子は、専用ページを作って、学校のホームページに掲載されることになった。ITパスポートの合格通知が来たのは、ちょうどこの頃で、冬休み返上で勉強をした甲斐があったと安堵した。
いよいよ、僕らには卒業式を控えるのみとなった。
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