広島地下街探訪奇譚

鍵崎佐吉

Welcome to Underground

 今広島の地下街が面白いことになっている、という話を聞いたのは友人のSとライブ帰りに立ち寄った居酒屋でのことだった。Sの出身は広島県広島市で、先日親戚の法事のために帰省した折に久々に地元を歩いてみたら、色々と予期せぬ変化が起こっていて驚いたと彼は語った。自分にとってはあまり馴染みのない土地なので話半分に聞いていたのだが、彼の口から地下街という言葉が聞こえた時に思わず興味を引かれた。なんでも広島駅周辺の再開発に伴って地下街の拡張と整備が急速に進んでいるらしい。

 今まで日本の主要な観光スポットはだいたい回っているし、当然宮島や原爆ドームを目当てに広島にも行ったことはあったが、この地下街というのは完全にノーマークだった。ここの代表作を見てもらえばわかると思うが、自分は地下牢とか地下街とかそういうものにとても魅力を感じる人間だ。あの路面電車の行き交う広島の街の下に広大な地下都市が広がっているのかと思うとどうしようもなく興奮してしまう。そういうわけで早速一泊二日の広島地下街探索を決行することにした。


 広島までは東京駅から新幹線で四時間ほど、この距離なら飛行機も視野に入るかと思ったが、どうも空港がかなり辺鄙な場所にあるようで、目的地までの時間を考えるとあまり差はないようだった。そういうわけで午前八時に東京を発ち広島に着く頃にはすっかり昼時になっていた。腹ごしらえをするためにも余計な寄り道はせずにそのまま地下街へと足を運ぶことにする。広島駅を出てすぐの場所に大きな階段があって、駅から出てきた人間の三割ほどはそのまま地下へと吸い込まれていく。自分もその流れに身を任せて未知の世界へと一歩踏み出した。


 まず最初に驚いたのはその明るさだった。地下街なんて言うからアングラじみた狭くて暗い場所なのかと思っていたが全然そんなことはなく、ぱっと見はそこらのショッピングモールなんかとそれほど差はない。むしろ天井こそ低いものの予想外の広がりを見せるその空間はどこか解放感すら感じられる。

 今回は宿以外は何も決めずにこの場所を自由に楽しもうと思っていたので、ひとまず適当な飲食店を探すことにする。ちなみに自分はさほど食に関心がある方ではないので旅先でも平気でチェーン店に入ったりするタイプだ。ふとマクドナルドが目に入ったのでそこへ足を運びかけるが、さすがに今回は一瞬思いとどまって隣のラーメン屋に入ることにした。広島ではどういうラーメンが流行っているのかは知らないが基本的には醤油か豚骨しか食べないことにしている。この後歩き回ることも考えて醤油を注文したが、ここで気になったのはラーメンの味よりも店の作りの方だった。ラーメン屋と言えばやたらでかい換気扇だったりそういう匂いのイメージが強い。だから空気のこもりやすい地下はラーメン屋に向いていないと思ったのだが、なんと店内にはいくつものパイプが這いまわっておりどうやらそこから空気を地上に吸い出して換気しているようだった。こういった設備もあえて見える場所に置くことで、スチームパンク風の独特な雰囲気を演出している。ラーメン自体は特別美味いというほどではなかったが、個人的には結構楽しめた場所だった。


 この地下一階は地上の混雑を避けるための通路として使われている側面もあり、正直そこまで変わったものや目新しいものは発見できなかった。そういうわけで今度は地下二階に降りてぶらぶらと歩いてみることにした。様相自体は劇的に変わったわけではないが、一階に比べれば行き交う人々の歩調もどこか緩やかな感じがして落ち着いた雰囲気がある。

 ちょうどこの階の真ん中あたりに来たところで広場に人だかりができていたので覗いてみると、ローカルアイドルらしき三人の女の子が何やら壇上でトークショーをしていたので少し立ち止まって聞いてみることにした。どういう趣旨のイベントなのかは結局よくわからなかったが、その中の金髪の女の子(確か名前はリサだったと思う)が話していた地下街にまつわる都市伝説はかなり印象に残ったので紹介しておく。

 自分はここまで階段でやって来たわけだが、ここは広島の中心地と言ってもいいくらいの場所なので当然エスカレーターやエレベーターだって存在している。ただここのエレベーターには何故だか妙な噂がいくつかあって、深夜に誰も乗っていないはずなのに勝手に動き続けているだとか、特定の組み合わせでボタンを押すと秘密の地下室に連れて行かれるだとか、そういう怪談じみた与太話が昔からあったのだそうだ。当時中学生だった彼女はその噂を真に受けて、ここに来た時は絶対にエレベーターを使わないようにしていたらしい。

 この話を聞いていたギャラリーも肯定的なリアクションを見せていたので、ここでは結構よく知られた話なのだろう。確かに地下のエレベーターというのはどこか閉塞的で冷たい印象を受けるものだし、そういう共通のイメージは生まれやすいのかもしれない。他の場所でも神社やお寺ではそういう話を聞くこともあったが、これほど近代的な施設にもそういうものはあるんだなと思って少し感心してしまった。


 そこからさらに奥に向かって進んでいくとついに二階の端までやって来たのだが、そこには剥き出しの地層と土壁が広がっており、その前で作業着を着た集団が何やら忙しそうに動き回っていた。手前の看板には工事中とだけ書かれていて詳しい事情はよくわからなかったが、近くにアイス屋があったのでそこで注文がてら店員に色々と聞いてみた。

 いわくここは最近になって増設されたエリアで、今でも現在進行形で拡張工事が行われているのだという。アクセスが良いわりに土地が安い地下街は今広島では隠れた人気スポットになりつつあり需要は拡大しているらしい。そして地上とは違ってここなら掘れば掘るだけ土地は増えていくというわけだ。とはいえこんな近くで工事をされたら飲食店としては迷惑なのではないかと思ったが、作業員たちや工事の様子を見物に来る建築オタクたちなどで意外と店は賑わっているようだった。

 こんな風にここではあちこちで工事が行われていてこの先も何度も見かけることになるのだが、それにしても工事で出るはずの土砂を運び出している様子は一度も見なかった。単に深夜にまとめて運んでいるのか、それともどこかに専用の運搬口でもあるのか、確かなことはわからないがわざわざ聞くほどのことでもない。もしかしたらこういう日常の中の不透明な部分が例の都市伝説のようなものを育んでいるのかもしれないと思った。


 ここまで一階ずつ散策をしながら下に降りてきたわけだが、ひとまず最初の目的地は地下三階にあるホテルで、ここまでの道のりは実はただの寄り道である。といってもこのホテルは地下街だけにあるのではなく、地上にちゃんと建物があってその地下三階部分にも別のエントランスが設けられているということだ。わざわざ地下にそんなものを作るなんて何か複雑な事情でもあるのかと期待していたのだが、いざそこへ行ってみれば地上のものとほとんど差はなかった。実際ここ地下三階の町並みも地上のそれと大きな違いがあるわけではないので、ここで暮らす人々にとっては地上と地下という区別にはあまり意味がないのかもしれない。ただ廊下の端にある非常階段へと続く扉にはなぜか「撮影禁止」と赤字で書かれていて、その横には常にスタッフが立っていたのが少し気になった。フロントで理由を尋ねてみると防犯対策ですと返ってきたが、どのような犯罪を想定しているのかは未だにはっきりしない。とはいえ基本的には居心地も良くこれといった不満は何もなかった。


 ここの宿泊特典で近くにある植物園の入場料がタダになるということだったので、一度チェックインして荷物を置いてからそこへ足を運んでみることにした。地下の植物園というのは初めて聞いたが、パンフレットによると特殊な照明を使うことで地上にはない独自の環境を生み出しているらしい。温度や湿度の管理も徹底しているようで、一歩園内に足を踏み入れた瞬間まるで森の中に迷い込んでしまったかのように錯覚するほどだった。入り口付近は亜熱帯の気候を再現しているらしく、背の低いシダ植物やヤシの木が所狭しと生えている。中でも食虫植物のエリアは多くの人で賑わっていて、入場者たちはまるで餌やり体験をするように持参した虫を植物たちに食わせていた。

 奥に進むと今度は砂漠のような気候になっていて、床一面に乾いた砂が広がるエリアにサボテンや幹の細い低木がまばらに生えている。かなり暑いしあまり見るものもなかったのでとっとと次に行ってしまおうかと思ったのだが、なんとちょうどエリアの中央のあたりに巨大なバオバブが生えていた。バオバブと言えば星の王子様のイメージが強いが、実物を見ると確かにその太い幹と広がる枝葉には強い威圧感と重厚感がある。それにしてもこれだけの大きさのものをどうやってここまで運んだのだろうか。それとも苗からこの大きさになるまで何年もかけて育ててきたのだろうか。そびえ立つバオバブはまるで天井を突き破って地上へと這い出そうとしているように見えてとても印象的だった。

 とはいえ暑さに耐えかねてさらに奥に進むとそこには鮮やかに色づいた麦畑が広がっていた。今は収穫の時期ではないはずだが生育環境の調整によってここでは一年中この光景が見られるらしい。パンフレットによるとここで育てているのは小麦やライ麦ではなく大麦のようだ。どういう違いがあるのかはわからないが、風に揺れる麦の波を眺めていると不思議と郷愁に似た感情が湧き上がってくる。ところで今これを書きながら気づいたのだが、地下の植物園に風が吹くはずはない。おそらくは空調か何かの影響でそういう風に見えた、ということだと思う。なぜだかそこから離れがたくなってずっと眺めていたのだが、閉園のアナウンスが流れたのでその日はホテルに帰ることにした。

 ホテルの夕食は特筆すべき様なものではなかったので割愛させてもらう。先にも述べたが自分はあまり食に関心があるタイプではないので。


 二日目はさっそく地下四階に行ってみることにした。夜には東京に帰っていたいので、そうなると昼過ぎ頃には新幹線に乗っていないといけなくなる。時間的な余裕はそれほどあるわけではない。

 この地下街はどんどん下に向かって増設されているので、地下四階は比較的新しく作られた場所だということになる。上の階層に比べれば確かに空地も散見されるし、人の量もそれほど多くはない。だがここにはこの地下街でも随一の人気スポットである屋内プールがあり、休日だということもあってたくさんの人で賑わっていた。この地下で屋内と屋外という区別に意味があるのかどうかは議論の余地があるが、日焼けの心配もないし天候の影響も受けないということでかなり評判は良いようだった。あまり下調べをしていなかったので水着なんかは持ってきていなかったのだが、どうも直接プールに入らなくても楽しめるものはあるとのことだったので思い切って入ってみることにした。

 入場してまず目につくのは天上まで届くほどの巨大な噴水で気の早い人間はさっそくそこに飛び込んでいってしまう。子どもたちにも人気のスポットらしく激しく吹き出す水飛沫の中で何人もはしゃぎまわっていたが、どういうわけかずぶ濡れになりながらも直立不動で動かないままじっとしている人間が何人か見受けられた。しかしよく見てみればそれはただの銅像で、どうやらこの噴水の意匠の一部らしかった。何の解説もないのでどういうコンセプトなのかはわからないが、どうせ調和とか友愛とかそういうものをモチーフにしているんだろう。

 少し進んだところにはいわゆる流れるプールがあって和やかで和気あいあいとした光景が広がっていた。ただどうも構造が一般的なものとは少し違っていて、まるで陸上競技場のようにプールが複数のレーンに分かれており、それぞれ流れの速さは異なっている。一番外回りの流れの速いプールはアスリート風の本気のスイマーばかりで、全員が遡上する鮭のようにプールの流れに逆らっていた。力尽きて流されていく人間もいたが、そういう場合は監視員がすぐに大きな網を持ってきてプールの外にすくい出してしまう。担架に乗せられてどこかへ運ばれていく彼らを見ているとなぜだかとても腹が減った。

 プールサイドには屋台もあって唐揚げやフライドポテトといった軽食も販売されていた。その中には広島風お好み焼きも売られていたので少し早めの昼食も兼ねて食べてみることにした。東京でもSの誘いで似たようなものを食べたことはあったが、やはり本場の味とでもいうのかどことなく特別感がある。そこでふと思い出したのだが、これを「広島焼き」と呼ぶと広島県民は烈火のように怒り出すという話を聞いた覚えがあったので、怖いもの見たさで店員に「広島焼き一つ」と言ってみた。だが鉄板の上で玉子を焼いていた彼はきょとんとした表情で「なんですか、それ」と言っただけだった。どうもこちらの言動を咎めているのでもなく、その単語自体を知らないようだった。今目の前で作られているのはただのお好み焼きで、ここには広島焼きという概念そのものが存在しないのである。まったくネットの風説などあてにならないものだ。キャベツが少し多すぎる気もしたがお好み焼きは屋台のクオリティにしてはそこそこ美味しかった。

 腹も満たされたことだし散歩がてらに奥の方へと進んでみると、緩やかな螺旋を描いたウォータースライダーが天井から床へと階層を貫くようにそびえ立っていた。ここからではその全容は把握できないがどうやら一つ上の地下三階にもプールへの入り口があったらしい。数十秒に一回ほどのペースで上から人が滑り落ちてくるその様子は不思議と見ていて飽きないものだった。ただ時折何か茶色い球体が人間と一緒にウォータースライダーから飛び出てくる。近づいて水面に浮かんでいたそれを拾い上げてみるとそれはヤシの実だった。どこから流れ着いたのかはわからないが、売り物というわけでもなさそうだったのでお土産として持って帰ることにした。

 もう少しここで和んでいたい気もしたが、もう一か所行っておきたい場所があったのでプールを出て地下五階へと向かった。


 地下五階は現状での最下層であり、したがって一番新しく作られたエリアでもある。そしてこの階層はまるまる全部博物館になっていて、その広大な空間に多種多様な物品が展示されているらしい。階段を降りた先には一面の白い壁が広がっており、自動化された無人エントランスで入場料を払えばそのまま中に入ることができる。

 通路をまっすぐ進んでいくと目の前に現れたのは路面電車の車両だった。以前広島を訪れた時にも同じものに乗ったことはあるが、こうして室内で見てみると意外と大きかったんだなということを実感する。側に書かれていた解説によるとこの車両は十年前まで現役で使われていたもので、一度バラバラに分解してから再びここで組み立てられたようだ。実際に中に乗り込んでみると内装も完璧に再現されており、乗客や車掌も自然な様子で、ここが博物館の中だということを忘れてしまいそうになる。しばらくそうして車窓から見える白い壁を眺めていたが、ここにいられる時間にも限りがあるので、三駅ほど進んだところで下車して次の部屋に行くことにした。

 二つ目の部屋で展示されていたのは魚の骨格標本だ。淡水魚から海水魚、大きさや数もまちまちだったが、どれも日本にいる魚だというのは共通している。鯵や鯛、鮎や鮭といった食卓に並んでいる魚から、鮐や鱧などの高級魚、鮟鱇に鱪に鱓といった変わり種、鰍や鮗など聞き馴染みのないもの、さらには鮣に鯢に鱘、おまけに魭や鯆までいるのだから驚きだ。自分が特に気に入ったのは鯧で、その洗練されたフォルムからは自然の機能美が感じられる。ただ一つ気になることがあって、鮣の横に展示されていたのは明らかに鱟だったのだが、なぜかそれは鱏だということになっていた。単なるミスなのかそれとも何か意図があってのことなのか判然とはしないが、万が一こちらの勘違いだった時のことを考えるとそれを指摘することはできなかった。

 次の部屋に入ると正面に老人の顔写真と解説のついたパネルが置いてある。どうやらこの老人は地下街の建設に出資していた某企業の社長らしく、遺言によって彼の遺品であるコレクションがここに寄贈されたのでそれを展示しているらしい。そしてそのコレクションというのが大量の冷蔵庫だった。

 解説によれば幼き日の彼は初めて目にした電気式の冷蔵庫に大変感動し、大人になって大成し財力を手にしてからはそれを熱心に収集していたのだそうだ。展示されている冷蔵庫は年代もメーカーもバラバラで、中には海外製のものや業務用だと思われる一品もある。自由に触っていいということだったので試しにその中の一つのドアを開けてみると、なんと大量の本が隙間なく詰め込まれていた。どうやら例の社長は晩年には認知症を発症しており様々な奇行が目立ったそうだが、冷蔵庫に本を詰めるというのもその一つだったようだ。しかし当の本人はいたって真剣で、冷やしていないと本が腐ると信じ切っていたらしい。彼にとっては本はあくまで生ものだったのだろう。最近は電子書籍ばかり利用していたのですっかり忘れていたが、確かに紙の本には少しそういうところがある。ブックオフなどで買った本からたまに妙な匂いがするのは多分そういうことだ。


 丁寧に解説を読んでいたせいか気づけばかなり時間が経ってしまっていた。博物館はまだ十分の一も見れていなかったが、帰りの時間を考えて仕方なく地上に戻ることにした。幸いにも博物館の各所には防災の観点から複数のエレベーターが設置してあり、そこから直通で地上へと上がることができる。ボタンを押して十秒ほど待機すればドアが開いたので足早にそこへ乗り込んだ。ボタンの前には若い女性が一人乗っていて、こちらを見て「どちらまで?」と問いかけてくる。「一階まで」と短く応えると彼女はその通りにボタンを押し、やがてドアはゆっくりと閉まった。

 その時自分が感じた強烈な違和感を皆さんは想像できるだろうか。それは夢の中で、今自分が夢を見ているのだと気づく、そんな感覚に酷似していた。どうしてこれを疑問に思わなかったのだろうか、そういう後悔と呆れ、そして諦めにも似た悲嘆。けれどそれが不思議と心地よかったりする、そういう感情。

 このエレベーターは今降りてきたのであって、地下五階は最下層である。つまり目の前にいる彼女は、常識的に考えて地下五階で降りる以外の選択肢はないはずなのだ。もちろん彼女が非常識的な思考の持ち主ならその限りではない。もしくは四階で上に行くために待機していたが、うっかり下へ向かうエレベーターに乗り込んでしまったのかもしれない。そうやって必死に自分を納得させようとする俺を尻目に、彼女はスマホをいじり続けている。いっそ彼女が狂人だとわかるような何かがあればこちらもかえって安心できるのだが、どれだけ観察しても彼女の仕草におかしな点はない。

 そして気づけばドアが開いて、懐かしい地上の景色がそこにあった。可能な限り素早く外に出て、そして何も異変がないことを確認する。ためらいながらも後ろを振り返ってみれば、彼女は笑顔でこちらに手を振りながらゆっくりとドアは閉まっていった。だから自分は、彼女はエレベーターガールだったのだと思うことにした。今の時代にそんなものがいるはずはないという人もいるだろうが、現にいたのだからどうしようもない。幽霊とか都市伝説とか、そういったもののせいにするよりは遥かにマシなはずだ。

 結局は全て主観的な判断に委ねられる、我々の見ている世界というのは所詮そんなものなのだろう。だったらどこまでも自分に都合のいいように解釈した方が幸せに過ごせるのではないかと、近頃はそんな風に思うのだった。


 そういえばお土産として持って帰ったヤシの実だが、しばらく玄関に飾っていたらいつのまにか芽が出ていた。とはいえ育てるスペースもないので放置していたところ、酔っぱらったSが家に持って帰ってしまった。どうもあいつは育てる気でいるようだが、ヤシの木というのは自宅でも栽培できるのだろうか。有識者の方がいればコメントで教えていただければと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

広島地下街探訪奇譚 鍵崎佐吉 @gizagiza

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ