第13話 悠久の時を生きる

「そうさね。おまえさんは『悠久の時を生きる』エルフだもの。そうした方がいいとは、わたしも思っていたさ」

 おばあさんはおかしそうに言って、話すのが疲れたのか、そのまま眠ってしまった。


 その晩、ジンは村全体に大きな魔方陣を描いた。

 失敗は命取りになる。しかも、永続魔法だ。

 ジンが千四百歳くらいになれば、人間同様に老衰が始まる。その年まで、この魔法でずっと、みんなをあざむき続ける。

 雪は雨に変わっている。二十五歳のジンは村人たちみんなに声をかけた。

「ゆっくりおやすみ」と。


 そして、とんがっていた耳の形も、魔法で、見た目を人間そっくりに変えてしまった。

 これからは「ひとりの野菜売り」の人間として生きていくために。


⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

「野菜売りのジン、炎龍と戦う」前日譚でした。




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叡智の図書館 瑞葉 @mizuha1208mizu_iro

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