第14話

「ねえ、あなた。このままじゃ家族四人、共倒れですよ」


頭になっている台本のページがパラパラと開き、声が聞こえる。


「これが、ランファン」


ランファンはステージに登る。


「なにこれ。馬鹿にしてるの?」


夏香は紬の中途半端な笑顔にとても腹が立った。自分が演技が下手なことを、ここまでして馬鹿にしたいのかと溜息をつき、ランファンを真っ直ぐ見つめた。


「どういうこと?ランファンだよ、台本の」


台本の表紙にはしっかりと「ヘンゼルとグレーテル」と刻まれており、その下に書かれた掠れた名は「鈴木夏香」だ。


ドサ。


夏香がランファンにビンタを食らわせると、紙が倒れる音がしてランファンは床に這った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エンゼルとグレネードランチャー 酸性ラムネ@プロフ見て @sannsei999

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画