第13話
「ランファン、見つけたんだよ」
音楽の授業。またみんなが教室からいなくなって、紬と夏香の二人きり。
「ランファンって、なんなの」
「知らない」
「見つけたんならわかるでしょ、どんなの」
「分からない」
紬は視聴覚室の扉を開ける。キラキラとした照明、この前と同じ。
あの映像が蘇る。夏香は思いつきのまま、ステージに立った。そこから、奥の壁を見つめる。ずっとずっと、見つめる。壁のシミに視線を置いて。
「見える?ランファン」
隣に立った紬が、奥の壁を指さした。ゆっくり目を細めると、なんだか人型のものが見えてきた。
頭が台本の、人型の――あれが、ランファン?
「ヘンゼルとグレーテル、ランファン」
紬はゆっくりとステージから降りて、キラキラの中を歩いた。奥にいる、頭が台本の人に触れた。
「なに、それ」
すごく不気味なのに、夏香は何も怖くなかった。通学路に残るカエルの死骸より何倍もマシだと思った。
「あなた、誰なの」
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