大集合③


「…」


一刀締恋理は何も言わず。

ゆっくりと後ろに倒れる。

その瞬間を逃さず、胴衣の一人が接近した。


「どうぞぉお!!椅子でごわぁあすッ!!」


そして滑り込みながら一刀締恋理の臀部に自らの背中で支える。

椅子にされた胴衣の男は若の体重を背中で感じていた。

眠っている筈の一刀締恋理は、椅子に座ると優雅に足を組みながら刀を両手で持ちながら眠り扱ける。


「なんだこいつ…」


屍河狗威は、一刀締恋理を見ながら困った顔でそう言った。


「失礼、我々は貴殿らと相対するつもりは無い」


胴衣の連中の中で、一人の術師がそう告げた。

別段、屍河狗威に用は無いらしい。


「じゃあ、何をしに来たんだい?頭刃衆の方々」


胴衣の一人が校舎の方へ指を指した。


「創痍修緋奈燐、正確に言えば、彼女の流痕昇具です」


屍河狗威は、自らが抱いた女の名前が出たので、興味を湧かしていた。


「緋奈燐さんが、なんだってんだよ?」


そう言うと、胴衣の男が会話を続ける。


「彼女は我々、一刀締家の血筋を持つ男と婚姻、その男が死亡した後、関係を断ち切った…しかし、彼女は本来、我々に返す筈のものを返さなかった」


一刀締津弥義。

その愛刀である『禍禍切大刀』。

彼らは、その刀を回収しに此処迄来たのだ。


「今回、土塊紅家と創痍修家との戦争記録が中立側から公開された為、確認してみれば…彼女は一刀締津弥義の愛刀を隠し持っていた…これはいけない、故に、こうして回収しに来たのです」


創痍修緋奈燐は一刀締家との関係を断つ為に苦労した。

領土の半分を献上した事で一刀締家との関係が白紙になった。

だが…彼女が一刀締家の刀を進言しなかった事が、現在の問題となっていた。


「さて、案内をして貰いましょうか、創痍修緋奈燐の元へ…」


と。

急かす頭刃衆の術師の声が掻き消えた。

爆発的なエンジン音が、再び校舎から響いたのだ。


「ひぃッ!!き、来た…き、貴様のせいだぞッ、屍河狗威!!」


そう叫ぶ黄河遠進什饗。

再び屋上からグラウンドに目を向けると。


「…暴走族か?」


『殴堕星』の旗を掲げるバイクの集団がグラウンドを支配していた。


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元一般人、術師達の戦争で敵側ヒロインを襲い犯し奪い、褒美としてヒロインを抱きまくる、略奪ハーレム、現代バトル、主人公最強、現代ファンタジー 三流木青二斎無一門 @itisyou

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