大集合②
「貴様を殺して俺が二位になるッ、首を洗って待ってろ屍河狗威ィ!!俺の名はァ…」
高らかに叫ぼうとする。
しかし、屍河狗威の近くに居た仮染貂豹が代わりに答えた。
「あぁ…思い出した、黄河遠進什饗だ、あれは」
第四位・黄河遠進什饗。
その名前を聞いて、百足楽灼煉も手を叩いて納得した。
「そういえば…そんな奴もいたな…顔面が隠れて全然見えないじゃないか」
彼は、機士杖祿謳との戦いによって負傷していた。
その事実を知るよりも早く、こうして黄河遠進什饗がやって来た。
「あぁ…まあそんな奴がいたのか…」
屍河狗威は余程興味が無いのか適当に相槌をしていた。
彼らの反応に、黄河遠進什饗は怒りをあらわにする。
「貴様らァ!!…この俺を無視するなァ!!」
校舎の壁に向けて触手を伸ばす。
触手が壁を掴むと、地面を蹴って壁に貼り付く。
そして、そのまま触手を這わせて屋上へと走って来る。
「蝕手を使って昇って来たぞ…」
流力操作によって身体能力を強化。
その状態で高らかに飛び上がると、フェンスを越えて屍河狗威達よりも上に立つ。
「屍河狗威ィ!俺が、貴様を殺すもの、俺の名はッ…ッ!!」
屍河狗威に向けて殺意を向ける。
空を見上げる屍河狗威、しかし、彼の興味は彼では無かった。
「おい見ろ…空がッ!」
黄河遠進什饗の更に上。
空間の狭間を切り裂き、其処から複数の人間が現れると、黄河遠進什饗の顔面を蹴った。
「アァ!?ぐべヴぁッ」
そのまま地面に落下する黄河遠進什饗。
胴衣を着込んだ数名の術師達が登場した。
「いたぞ…屍河狗威だッ!!」
黄河遠進什饗を足蹴にした状態で胴衣の男がそう叫んだ。
「なんだテメェら!!」
屍河狗威が、空から訪れた来訪者たちに向けて叫んだ。
「聞いて驚け、見て畏れよっ!!」
天を指差す胴衣の男達。
満身創痍の黄河遠進什饗はゆっくりと顔を上げた。
「ぐ…ぐぐッ!お、俺を、無視するッぱうッ」
そして、更に上空から振って来た、セーラー服を着た術師の靴底が、黄河遠進什饗の顔面を踏み付け、そして優雅に着地する。
「…」
目を瞑るその術師。
鮮やかな黒髪を靡かせながら刀で杖を突いている。
「なんだ、寝てやがる?」
屍河狗威はまた別の人間が来たと目を細めた。
「…あれは、珍しい、こんな所に来るなんてね」
百足楽灼煉は、その術師の存在を知っているらしく。
「一刀締、恋理…第三位の術師と出会えるなんて…光栄だね」
即座に、名前を口にするのだった。
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