『声罪』

ヒニヨル

声罪

私は彼の声が好きだ


いつも聞き慣れている

低く落ち着いた声よりも


私の気持ちを

心を乱して

あばいて

止まらなくさせる


「何をしているの?」

と、彼は電話越しに言った


私は小さな声を漏らして

自分を嘲笑する


状況を察した彼は

私を質問攻めにする


冷たい床に寝そべって

耳元の囁きに

身体を熱く

くゆらせる


最後に彼は私に尋ねる

「俺にどうして欲しいの」

恥じらいと渇望とが入り混じった

荒い呼吸で

私は生を堪能する


そして、絞り出すように

欲求をこぼすと

震えるほどに溢れ出す

己のたかぶりに

堪らない恍惚を覚えた。



     Fin.





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『声罪』 ヒニヨル @hiniyoru

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