第3話

 目が覚めると真子が背中を向けて寝ていた。下腹部に尿意を催している。立ち上がろうとすると頭が激しく痛んだ。やっぱり我慢して寝ようか。必ずトイレに行きたいというわけではない。

「大丈夫?」

 真子が小さく囁いた。僕は妻の方を向いて返事しようと思ったが、妻はさっきと同じように背中を向けていた。小さないびきもかいている。寝ているのか、空耳なのだろうか。

「大丈夫?」

 僕の後ろから消え入りそうな声で囁かれた。振り向く勇気がない。耳が冷たい何かに触れた。

「心配」

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昼妻夜妻 佐々井 サイジ @sasaisaiji

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