宇宙カラフル

ヤマハシレン

第1話 プロローグ

 おとぎ話とか出でてくる天使は大体、神様に仕えて迷える魂を救済する存在。


 少なくとも私はそう認識しているわ。


 あの日、アタシは本物の天使を見た。


 いや、そもそも本物のを見たことがないのに「本物の天使」って言うのもおかしいけれど。

 

 でもおとぎ話に出てくるソレと姿形が全く同じだったから本物の天使なんて思ったのかもしれないわね


 で、天使は宇宙(そら)から降りてきて、空を覆うほど沢山いたわ。


 街の人々は大騒ぎして逃げ出したし、その中にアタシもいる。


 数ある天使たちの中で一番小さい、子供の天使がいて凄く怒っているようだった。


 その顔は一年程前アタシの通っている学舎の転校生と同じ顔をしていたわ。なぜかしら。


(ホントハシッテルノニ)


 その天使は怒りのこもった唸り声をだしながら口の中に手を突っ込む、抜き出した手には黒く光る筒状の鉄が握られていた。


 その鉄の筒についている引き金を引くと筒から巨大な光の玉が放たれた。


 瞬間


 視界が白くなり


 光の玉によって起きた爆発で街も人も吹き飛んで

ゆく。


 その他の天使達もそれに続き、引き金を引く。


 残さず吹き飛ばされる街と人々。


 子供の天使は、アタシ達のせいで「タイセツナヒト」を失ったのをアタシは知っている。


 そしてそれをアタシ達は罪だと考えていなかった。だから怒っていたのだろう。


 でもあんな奴死んで当然。だってあいつはこの世にいてはいけない人間なのだから。

 

それに、あいつ自身だってそう言ってたじゃない。

 

アタシ達は悪くないわ。


 炎の中でそう考えながら燃えるアタシを見ていた天使を、アタシは見ていた。


 炎の中で息絶えるアタシを天使は見ていた。


 天使はその大きな瞳を、その顔を、涙で歪ませていた。












   

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宇宙カラフル ヤマハシレン @Lotus1012

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