序列至上主義世界の最下位
焔
第一話 最強
この世界は、序列至上主義の世界だった。
序列が高ければ高い程優遇され序列が低くれば低い程淘汰される様な序列が全ての世界。
序列の前では法律も憲法も意味がなく、序列が高ければ序列の低い者を殺しても拷問しても奴隷にしても許される狂った世界。
そんな世界で僕は、最下位の烙印を押された。
『こっぴどくやられたな』
僕は体についた砂や泥を払いながら立ち上がる。
序列下の僕に人権は存在しない。
故にいじめを受けるしかなかった。
まぁ、殺されたり拷問されるよりはまだマシな方だが。
さて、家………はもうないから新しい野宿先を探すか。
「
『
声をかけてきたこの美少女の名前は
僕と同じ
ちなみに僕はG3の最下位。
「先輩どうしたんですかその姿」
『道端に居たおじさんに殴られてね』
「なんでですか?」
『さあね、気分でも悪かったんじゃないかな』
「………そうですか」
『…それより少し助けて欲しい事があるんだ』
「私にできる範囲であれば聞きますよ」
『実は俺、前の序列過程試験でG3になって家や財産を没収されたんだよね。それで次の序列過程試験までテントを貸して欲しいんだ』
「…良く私に序列話せましたね。一般人ならここで即いじめられますよ」
『雨宮はそんな人じゃないと思っているから言ったんだよ』
「ッッッッ!。しょ、しょうがないですね。」
『ありがとう雨宮。この恩はいつか返すよ』
「本当にそれだけでいいんですか?」
『それだけとは?』
「お金とか色々とどうするんですか?」
『あー、400万円を河川敷に隠してあるんだ。だから心配いらないよ』
「そうですか」
『それじゃテント借りてくね』
そうして僕はテントを借りて河川敷に着く。
あたりを見れば多くの人がテントを張って生活していた。
まさか幼い時と同じ事をするとはね。
僕が6歳の頃、父と母はB1の人達に殺され家と財産を全て持っていかれてしまい、3年間この河川敷で野宿した事があった。
その当時、序列1位の人が20歳以下を殺してはならないと言うルールを作っていた為、僕だけは生かされたのだが、友達もお金もなかったあの時は本当に辛かったのを今でも思う。
けれど、そのおかげで今があるんだ。
『感謝しないとな。』
「あれ?もしかして司君か」
『清さんお久しぶりです』
「司君もお久しぶり…。テントを持ってここに来たと言う事はF3以下になったのか」
『はい』
「……」
『どうなされました?』
「いや、司君がA2以下なのに驚いてな」
『それはいくらなんでも過剰評価過ぎですよ』
「………どうやらその様じゃの」
『次はGを抜けれると思うので3ヶ月だけお世話になります』
「うむ。少しおせっかいかも知れぬが、君の様な子こそが上に立つべきだと鷲は思っとる。頑張ってくれ」
『頑張ります』
そう言って去るあの老人の方は
元政府軍のアタッカーで、政府から[業火の戦闘狂]の二つ名を授かった伝説の軍人。
しかし、脳にダメージを負って異能効率が落ちた事により軍人を辞めて今はボランティアでこの河川敷を守っている。
また、この河川敷にいるF3以下の人は清さんに守ってもらえる為、僕達からしたらここがセーフティーエリアなのだ。
『さて、テントを張って食材を買いに行くか』
「あのっ」
『ん?』
振り向くと8歳ぐらいの少女が声をかけて来た。
その少女はオッドアイで赤い瞳と黄色い瞳をしている。
多分だが、魔眼系異能の効果だろう。
「あの日、パパとママを助けてくれてありがとございました」
『………ごめんねお嬢さん。僕は君のパパとママを助けた人じゃない』
「え?。でも色が同じ」
『お兄さんはG3で君のパパとママを助けれる序列がないんだ』
「…………ごめんなさい」
『お父さんとお母さんの所に戻りなさい。悪い人が来たら大変だから』
「…うん、ありがとうお兄ちゃん」
『気を付けて』
そう言って少女の後ろ背中を見送った僕はスマホで時間を確認する。
するとスマホには5時30分と表示されて、僕は急ぎで近くのスーパーに向かい食料を買って帰路につく。
6時以降になると社会人の多くは帰宅する為、遭遇率が高くなる。
『残り15分後。ギリギリセーフだな』
「何が、ギリギリセーフなんでか?」
その声と共に後ろから冷たい鋭利な物が首に押し当てられる。
声からして女性なのが分かる。
僕は両手を上げる。
「序列をお伺いしても?」
『…G3です』
「そうですか」
『要件はそれだけですか』
「いえ、もう一つ程あります。最近この付近で噂される[
『………知らないです』
「嘘ですね。心拍数と呼吸に瞳孔の動き、何か知ってますね」
『分かりました。素直に話しますがその前に一つ質問して良いですか?』
「答えれる範囲でならお答えします」
『[最強者]と言われる人物にあって何をするんですか?』
「彼を私の仲間にスカウトするだけです」
『そうですか』
「早く話してください」
『……最強者はさっきあのスーパーから出て行きました』
「…‥嘘ではない様ですね。それじぁさよなら」
『ッッッッ』
「光栄に思いなさい。A2の私が苦しまずに殺してあげたんだから」
◇
そうして私はG3の雑魚の首を刎ね飛ばした。
次の刹那、空気が重く凍てつく空気と化し背後から声をかけられる。
『おいおい、まだ死んでねーぞ』
「………どういう事」
『教えて欲しいならかかって来い』
………どういう事?。
さっきの彼とは別人の様な気配。
それにこの空気が凍てつくほどの威圧感…‥私よりも強い?。
いや、そんなはずないわ。
だってあの雑魚はG3と言っていた時に嘘はついていなかった。
概念系の異能ならD以下にはならない。
つまり、回復系の異能。
『早くかかって来い』
「ずいぶんの物言いですね」
『なんか問題でも?』
「……貴方、勘違いしてますね。私の異能は概念系、貴方の異能じゃ私に太刀打ちできない」
『へー、それで?』
「流石はG3の雑魚ですね。命を無駄に捨てるとは」
『口回すより行動しろよタコ』
「えぇ良いでしょう。そんなに死にたいなら殺してあげます!」
そう言って私は異能を発動させた。
私の異能は時を止める【
今この世界で動けるのは私だ、、、け、、、、、。
『やっぱりどの概念系も強力だな。時を止める概念系なんてほぼ無敵だろ』
「なんで、、、動けるの」
『もうここの街にニ度と来ないなら教えてやるし殺さないでやる』
「私の異能が効かないからって勝ったつもりでいるけれど。私はA2に登れるほどの戦闘力と頭脳を持っています。貴方が不利なのは変わらない。」
『お前‥‥死ぬぞ』
その言葉の殺意で足元が震え息苦しくなる。
とてもではないが私の
「……わっ分かったわ約束する」
『契約成立だ』
そうして契約を交わした刹那。
気づいた時には、私は地面に倒されていた。
体の節々が痛過ぎで力が入らない。
『俺の異能【
序列至上主義世界の最下位 焔 @kasume
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます