第5話 海蝕洞の幻宝(5/5)
大学生になったたけしは、環境問題に関する研究を始めた。
あの洞窟で見たゴミの山がなぜあんなところに放棄されていたのか、たけしの心の中でずっと燻っていた。
シンジも大学に通い、海洋学を学んでいた。
「シンジ、あのゴミの山、なんであそこにあったのか調べて見ないか」
「面白そうだ、やろう!」
シンジはまた二つ返事で協力してくれた。
二人は専門分野の教授の話しを聞いたり、世界中のゴミ問題の調査したり、いろいろと研究を進めた。
そして分かったことは、日本中の海に捨てられたゴミが、海流に乗って運ばれてきて、潮の満ち引きの加減で洞窟の中に引き込まれたことがわかってきた。
漁師になったトシの漁船に乗って、三人はもう一度洞窟の中を見に行った。あの時からゴミの量は軽く2倍以上に増えていた。
陸に戻った三人は、あの時と同じように砂浜に寝転んでいた。
シンジ:「日本のあちこちでこんなことが起きてるんだな」
トシ:「そうなのか」
たけし:「そうかもしれない。でもこの海に限ってはあの洞窟がゴミをあき集めて、きれいな海を守ってくれていたのかもな。そうでなかったらゴミが海の中に蔓延して、生物の生態系が崩されていたかもしれない」
たけし:「おれたちはあの洞窟のことを知ってしまった。きっと運命なんだ。おれたち、導かれたんだよ。海が守ってくれって言ってるんだ。もう知らん顔はできない。おれはこれこら日本中の海からゴミを無くしていくよ」
トシ:「ところでさぁ、日本に海賊っていたのか?」
シンジ:「それはおまえが言ったんじゃないか」
三人は太陽を見上げながら、げらげら笑っていた。
<完>
海蝕洞の幻宝 昭真 @shoshin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます