第28話 年季の違い
それから一時間、俺達はなんやかんやありながら、魔物を倒しまくった。主に俺が。
「倒したっ……く……なんであんたはそんなに簡単に倒せるのよ!」
「……年季の違い?」
「あんた歳そう変わらないでしょ!」
そう言ってまた噛みつかれる。
けど実際そうだしなー……俺24歳だし。
「はぁ……はぁ……あの、すみませんそろそろ帰りませんか?良い時間ですし……」
そう、加奈ちゃんが息切れしながら言った。
「そうっスね。俺も疲れたっス」
そう言って大輔君も同意した。
時間にして二時間くらいか……うーん、まだ狩り足りないけど……
「そうだね。帰ろうか。美玖ちゃんも帰るってことで良い?」
「ええいいわよ」
そう言って彼女もうなずく。
凄いすました顔しているが、肩が大きく揺れているのが見える。
「それじゃ、帰ろうか……えっと、帰り道はこっちだっけ?」
「こっちよ」
「あ、そっか」
そう言われて俺は三人について歩いていく。
「……それにしても、結構楽しかったなパーティ攻略」
なんて思いながら歩いていく。
……これならちゃんとパーティ集めて、それで深層探索何て……
「ふふ、楽しそうだ」
まあ、深層行くのには程度の実力は必要だけど。
「あの……百鬼さん」
「ん?」
むふふ、と一人で笑っていたら、いつの間にか近くに寄ってきていた加奈ちゃんに話しかけた。
「どうしたんだい?」
「いえ、あの……今日はありがとうございました」
「ああ、いやいや。こちらこそだよー」
そう言ってお礼を言ってくる加奈ちゃんに笑顔で返す。
「その、それとごめんなさい」
「ん?」
「美玖ちゃんの事です、あの子……その、態度悪いかもですけど、悪い子ではないので、その……」
そう言われて「ああ」と納得する。
まあ、負けん気強いし、勝手に突っ走るしで……自分勝手なところは目立ってたけど……
「大丈夫大丈夫、気にしてないから……雑魚って言われたこと以外」
「あ、そこはやっぱり気にしてたんですね」
「そりゃもう」
そう言って俺は腕を組んで「ぷんぷん」と怒る。
「ま、でも……負けん気強くていい子じゃない」
「そうですかね?」
「うん。あ、でも僕以外と組む時はもうちょっと、美玖ちゃんの事コントロールしなよ?普通の人だったら気分悪くしちゃうと思うしね」
「はは、そうですよねー」
そう言って加奈ちゃんは苦笑いする。
……っと。
「ねえ加奈ちゃん」
「どうしたんですか?」
「……ちょっと頭下げてくれる?」
「え?」
「いいから」
「え、えっと……こうですか?」
そう言って加奈ちゃんは頭を下げてくれる。
「もうちょっと……ありがと」
そう言うと俺は刀を抜き、一閃。
次の瞬間、加奈ちゃんの後ろから迫ってきていた魔物が真っ二つにされて地面に転がった。
「え、いきなり何……え?」
そう言って加奈ちゃんは困惑しながら地面に転がった魔物を見た。
「……後ろ、ちゃんと気をつけないと危ないよ」
「あ、ありがとうございます」
そう言ってぺこりと加奈ちゃんはお礼を言った。
「ん?なんかあったんスか?」
「ちょっと魔物が出てねーもう倒したから大丈夫」
「そうっスかー」
そう言って大輔君は美玖ちゃんについて歩いて行った。
「って、美玖ちゃん足早いな……ちょっと離れすぎじゃ?」
「あ、本当。美玖ちゃーん……って、声聞こえてないですかね?」
「そうだね、とりあえず走って追いかけようか。あんまり孤立しちゃうと危ないし」
「そうですねー」
「走れる?」
「はい、大丈夫ですっ!」
そんな話をしながら、俺たちは二人の後を追いかけるのだった。
承認欲求モンスターな世界最強配信者さんは今日も日陰者 青薔薇の魔女 @aomazyosama
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。承認欲求モンスターな世界最強配信者さんは今日も日陰者の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます