メビウスオプションイエロー8ミリ

メビウスオプションイエロー8ミリ

煙草持つ骨張った指と血管に恋をしました苦しいほどに

吸ったことないと言ったら舌絡め初めて煙草の味を知る夏

あたしにも吸わせてと駄々を捏ねたけど笑って顔に煙を吐いた

触れられた頬、首筋、胸、熱を持ち あたしこんなに熱いのかと知る

「だいすき」と耳に口を寄せ囁くと「バカ」といいつつ嬉しそうだね

元カノはどんな子だった？そう聞くと煙を吐いて煙に巻く君

単位？まあなんとかなるよと言いながら肌を寄せ合う朝の九時半

恋をして綺麗になるって言うけれどあたしどんどん馬鹿になってく

間取り図を指差しタンスはここだねと顔突き合わせ語る幸せ

スマホ見る君の横顔ばかり見る付き合い始めて三年の頃

あたしより煙草の方が好かれてる キスもされてる 寂しくなるね

真似をして大きく息を吸ったけど君の香りで心も痛い

「今日仕事」「明日も帰れん」文字だけのやり取り 画面の向こうが遠い

広すぎるベッドで一人「寝やすいな」なんて強がり唇を噛む

罵ってもう嫌いだと泣いてから肌を重ねて曖昧になる

もうだめだわかっていても別れずにずるずる続ける意味のない恋

DMとチラシに混じって入れられた冷たい合鍵もう要らぬ鍵

夢に出てくるなら許可を取ってよね 思い出したら泣きたくなるから

思い出と傷からどんなに離れても喫煙所には君が残ってる

メビウスのオプションイエロー8ミリの君の香りを吸う吐くひとり