空と短歌と

第1話

すれ違うだけで一日幸せになれる魔法をかけられました

まばたきしたらなくなってしまいそうきっとこんな感じ　青春

核心に触れないように慎重に楽しく二人会話するだけ

空っぽになったリュックに何つめて明日あなたに会いに行こうか

あこがれに勇気を出して近づいて日常となりあなたになった

耳元で好きと囁かれた方にイヤホンはまだ挿せないままで

マシュマロになったら溶けるまでずっとやさしく抱いてくれるんですか

月明かりさえ届かない暗闇で触るあなたの背骨が好きだ

くだらない人間なのでくだらない恋愛をしてくだらなく泣く

もう恋は終わったけれどただ日々を過ごしたことが愛おしいだけ

わたし今まくらを抱いて寝ていますあなたは誰を抱いていますか

疲れたら帰っておいで浮ついた心も毒で癒してあげる

三年後わたしは美しくなってあなたの傷を深めるだろう

置き忘れられたあなたの傘だけが知ってるベリーショートのわたし

突然の雨濡れていく街いつも忘れたふりをしてる悲しみ

まどろんだ一瞬にだけまた会える気がしていつも眠りが浅い

わたしもう行くねあなたを忘れたら行き着く先でまた会いましょう

あなたからもらったワンピースを別の手がぎこちなく脱がしています

消したいと思ったこともあるけれどあなたの過去はわたしのものだ

雲の隙間からあなたの思い出が降ってくるのを待ってる　おいで