赤い錆

滝川創

赤い錆

白い手が握る刃物に赤い錆


どこまでもついてくるのは黒髪の


逃げ惑う夢と疑うはずもなく


行き止まり迫る女は足がない


目が覚めてかび臭い部屋すきま風


電話手に彼女の声が聞きたいと


つながらぬ電話は夜中だからだと


水を飲むためにコップを探してる


目に留まるあの日に埋めたはずのもの


包丁と二つの指輪月明かり


玄関のドアが開いて軋む音


青白い誰かが歩くこちらへと


血まみれでいるはずのない君だった


窓を開け飛び降り転げ走り出す


家の前彼女の頭落ちている


動かない震える足で逃げ惑う


裏切りを悔いても君は戻らない


立ち止まるこれは悪夢に違いない


振り向いて目が合う君は泣いていた


白い手が握る刃物に君の錆

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赤い錆 滝川創 @rooman

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