第3話

本日の「こわいもの」


それは「暗闇」


とある女性が子どもだった頃

罰として家の外へ追い出され、明かりを消されるのは当たり前だった


今では体罰だろうが、女性が小さい頃はしつけとして当たり前であった


その日粗相をした女性は外に出され

暗闇の中こぼれ落ちそうな涙をこらえていた


今泣いたところで助けはない

声に引き寄せられていろいろなモノがやってくるだけだ


玄関先に座り込み、庭木がざわめく音を聞く

音の中に、野良犬と思われる遠吠えがまじる


ふいに何かが目の前を通った

黒く形のない何か


ぐうるりと女性の正面に大きく回り込んだソレは

ゆっくりと近づいてくる


目には見えない、が、気配を感じて身の毛がよだつ

女性の足は何かに掴まれたように固まって動かない


その間にもソレは距離を詰める


――ふレ、る


息をするのも忘れてソレを凝視した時

ぱっと外灯が付き、照らされた女性の影が長く伸びた


扉が開き出てきた母にすがりつき

泣いて謝る女性の影に陰は溶けて消えた

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この世で最も怖いもの…… @hitokowa

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