第3話
本日の「こわいもの」
それは「暗闇」
とある女性が子どもだった頃
罰として家の外へ追い出され、明かりを消されるのは当たり前だった
今では体罰だろうが、女性が小さい頃はしつけとして当たり前であった
その日粗相をした女性は外に出され
暗闇の中こぼれ落ちそうな涙をこらえていた
今泣いたところで助けはない
声に引き寄せられていろいろなモノがやってくるだけだ
玄関先に座り込み、庭木がざわめく音を聞く
音の中に、野良犬と思われる遠吠えがまじる
ふいに何かが目の前を通った
黒く形のない何か
ぐうるりと女性の正面に大きく回り込んだソレは
ゆっくりと近づいてくる
目には見えない、が、気配を感じて身の毛がよだつ
女性の足は何かに掴まれたように固まって動かない
その間にもソレは距離を詰める
――ふレ、る
息をするのも忘れてソレを凝視した時
ぱっと外灯が付き、照らされた女性の影が長く伸びた
扉が開き出てきた母にすがりつき
泣いて謝る女性の影に陰は溶けて消えた
この世で最も怖いもの…… @hitokowa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。この世で最も怖いもの……の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます