第3話 不敬罪

「セレネ シャトラ……様!?」

おいおい……主人公ムーブ展開来たなコレ!

(じゃなくてですね……)

何で公爵家の娘さんがここに?

クレアーレ家に助けられったっていっても、

何十年も前のことだろうし……

アラスカルさんは父さん達に

用があって来てるのが大部分だろうしな。

(尚更分からんねぇ……)

「どうしたら、貴方のように努力出来ると

思いますか……」

「……え、えぇっと」

(いや、初めての会話がそれ!?)

初めての会話なんだし……なんか、こう

もうちょっと何かない?めっちゃ急だし……。

「逢うの……初めて、ですよね?」

「はい、そうですが?」

怖い!俺、この子のこと分かんないよぉ!

(そういえば俺がおかしいだけだったね!?)

そうだね、セレネ様は公爵家の娘でも

普通の子供だもんねぇ!

「見ていれば分かりますよ」

「……そういうものでしょうか」

どうすれば、俺のように努力出来るか……ね

何でそんなこと気にするかねぇ。

(お偉いさんの娘ってのも、大変なんかね)

理想の自分主人公になりたいから」

「えっ?」

「その為だけに努力してる」

俺以外の誰でもない、俺だけの為に

ただの自己満足の為に努力してる。

「タメ口とは……不敬罪、死刑です」

「うぇえっ!?」

母さん、父さん、ごめん……俺死ぬらしいわ

「ふふっ、冗談ですよ」

「……今後気をつけます」

(割とマジで)

人が人ならマジで殺されそうだし……

ちなみにちゃんとビビったのは内緒である。

「自分の為……考えた事も無かったです」

「参考になったのなら、良かったです」

そう俺が言った瞬間、木々が崩れ去った。

「……ッ!」

木々が崩れ去る音は俺達に迫ってくる

……とんでもない、スピードで。

(来るッ!)

「セレナ様っ!」

彼女の傍に駆け寄り、手をとる……が

俺達の体は風圧によって吹き飛ばされていた。

「本当に居るじゃねぇか、セレネシャトラぁ…!」

彼女を庇い、代わりに地面に

投げ飛ばされた体を起こしながら、

「誰だよ、お前」

そう、目の前の男に告げた。

「そりゃコッチのセリフだ、ガキ」

不敵な笑みを浮かべ、男はそう言った。

(さて、主人公の腕の魅せ所かな)




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異世界でも主人公を目指したいと思います 月影 @mijage

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