食と歩む
島丘
食と歩む
「いただきます」 揃った教室あの日々は 遥か彼方の1LDK
湯煎したチョコの数だけあるものは 友への義理と同調圧力
再会を願って冷たい君を噛む 平たい橋にツキ当たりなし
鮭の皮 過りかさぶた舐めてみる 血の味はしない 塩辛くもない
山頂と同じ色した湖は 甘く冷たい夏の残り香
任せなさい 子どもの味方をしておいて ある日裏切る甘口カレー
成長の証と信じてまず一杯! 子どもでいいやと頼んだコーラ
廃棄する一日前の運命を 見えないフリして食べたおにぎり
ラーメンの表記信じて待つ三分 裏切り者はバリカタ主義者
犠牲とは 舞い散るきな粉を見て思う 笑って震えるわらびの餅よ
バケットを抱えて舐る指の塩 歯で噛み潰す未開の種
偽善とはお前のことを言うのだと 揚げたじゃがいも貪る己
真っ黒に取り残された玉ねぎは にくい奴めと隣を睨み
カチカチと威嚇しながら見定める 獲物はお前だ クロックムッシュ
乙女なの ケーキと一緒に来る君は 酸いも甘いも知ってるくせに
いちにのさん ときどき四つ 欲張りな 枝豆押して 飛び出て三つ
穴あきの黄色い布団は高山に 綺麗な布団は小高い山に
給食の代わりを務める卵粥 荷が重いぞと 桃缶開き
「スパイだ!」と 息子の叫びに臍を噛む 押収された二ミリのにんじん
旗落ちたお子様ランチをかき込んで 我が子と重ねた 「ごちそうさま」と
食と歩む 島丘 @AmAiKarAi
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