二人の社長

転職祝いということで(実際の転職は2月)、二人の社長と簡単な飲み会をしてもらった。

二人とも二十年以上のお付き合いになる。


どちらも今は60代だ。



一人の社長さんは、経歴をあまり知らなかったので、聞いてとてもびっくりした。


大学時代に、金がかかるあろ競技で好成績を上げ、同じ競技の女性と結婚した。

女性はお金持ちの令嬢で、親のコネでスポンサーをつけてもらい、競技を続けていた。


子供もできたが、いろいろあって離婚。


彼は就職したが2年で転職。

そこでも閑職だったので、一念発起して資格の勉強をする。

見事合格し、実務経験も積んだ。


そして起業した。

ただ誤算だったのは、仲間が誰一人一緒に来てくれなかったこと。


みな奥さんに反対されたのが原因らしい。

独身の彼はひとりで起業した。


起業してからもいろいろあったが、何とか軌道に乗った。


取引先がつぶれそうになり、そこの優秀な人が来てくれたこともあるし、使い込みが八角したここともある。


今でも社用車を自分で運転し、書類の箱や機材などを運んでいる。



社長になってから、ある女性とめぐりあい、結婚して子供も今は高校生。

推し活に夢中だそうだ。


この社長さんは、これからも新しいことをいくつかやりたい、と言っていてそれを達成するならあと10年はかかるので、当分引退できないとのこと。


ちなみに、母のもとで育てられ、成人した息子さんは、今は結婚もしているが、同じ競技にのめりこんでいるとのこと。


二人の子だし、血は争えない、といって社長さんは笑っていた。




もう一人の社長さんは、奥さんに言わずに起業したそうだ。

かなり綿密な準備をしたようで、初年度からコンスタントに仕事を受け、業績はずっと好調だとのこと。


ただ問題は、高度な知識を必要とする業務のため、若い人を採用できないことだとか。

すでに従業員の平均年齢は50を越えた。



おそらく、どちらもいい会社なのだろう。

小さい企業は社長次第、とつくづく思う。



「社長業の心得」なども楽しく聞けた。



あれ…お祝いと言いながら、僕の職場の話はほとんど出なかったな…


単純に僕にかこつけて飲み会やっただけだ!



…まあ、いいや。おごってもらったし、面白かったから!



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