9水門にて/別れの詩
もし死ぬのなら、阿寒の雪を見てみたい
もし死ぬのなら、楽園の花を見てみたい
もし死ぬのなら、時の流れを止めてみたい
もし死ぬのなら、世界を平和にしたかった
小笠原諸島の凪いだ渚に、空と色と有明の月
沙羅双樹や菩提樹、金木犀に木蓮の下で
失われた時を求めて、酔った夢に生きてみた
歓喜に呼ばれて目覚めた日
やっと、望まぬ鳥かごから比翼の鳥が飛んでいく
まだ憶えていますか。僕はここだよ。まだ死んでなんかいない。
伽藍洞な宇宙は泣いた。永遠ももう終わるから。
還る場所を、水面に映るその顔を、やっと思い出せたから。
Fin
No.11 戯曲『フロイデントレーネン=最期のシ』 空花凪紗 @Arkasha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます