「令和の歌」

@keichiaha

第1話 令和の歌

雪深き北の地に立つ気概持て春になり涌く露出狂らよ


一斉に翔べる雀に出遅れて慌てる一羽がしみる月曜


後回しせしタスクらは強大に膨れ上がって我を睨みぬ


同い年の選手の引退会見に励まされおり水曜の朝


男の子みたいな服とまた言いて長女にやさしくまた諭されて


コンビニの梅しそいなりおにぎりが思った味でなき考査前


はやギャルに変態し終ゆ六月の畦道をゆく高一女子は


アイドルの二重の幅をうらやみたる十六歳の生き辛き夏


母親の全てに腹が立つという女生徒便器をがしがし磨く


友達に貸した体操服を着て湿ってるじゃんと怒って走る


下敷きでパタパタあおぎ汗拭う体育後ゆえ始鈴すこし待つ


体育後の現代文の教室のおそらくこれが青春のにおい


恋する目のズーム機能は正確で全校生徒の中から見つける


下校時にあの子とうまく喋れずにまだひきずって落ち込むB太


君たちのいいねはおそらく「をかし」でありエモいは「あはれ」千年を経て


我が爪をきれいねと撫でまどろめる末の子のやわくぬくくいとしい


お迎えのドアをするりと抜け出でし一歳男児がっちり硬し


二歳児のお迎えに行き子らわっと抱きつきに来て一時ガリバー


朝九時の狭き道路をすれ違う老人ホームと幼稚園のバス


生き物の皆歌えりと貫之の言えば聞きたしその合唱を

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