解剖実習 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句】二十句部門

森園京

解剖実習/森園京

春を背にメスを片手の青衣


聖五月死をかんがえず死にのぞむ


晴れきつて正気の狂気でありにけり


骨盤に性のちがいや昼の月


無影灯ひかりの届かぬ場所よあれ


目借時ちいさき夢をふたつ見た


夕立ちに見えない手錠をかけられる


体内に十字架もある雨もある


さみだれの学問生死いりみだれ


生きているひとのよろこぶ裸足かな


風光るタイムマシンとすれちがう 


ひきよせて長き一線切りて夏至 


六月の名の無きものに名をつけよ 


さみしいわあらゆる雨に毛孔がないの


影捨てて飛ばしてくれと頼んでいた


まだ夏なのに実が落ちる


世の中の足のつかない深さである


日の射してだれかの大好きだつたひと


海ではふうわりあいさつできる


たのまれごと夜一日分だけを送る


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解剖実習 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句】二十句部門 森園京 @morizonokei

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