#2
「その人と出会ってあなたの人生は好転しましたか? よろしければ1を」
そう聞かれたら、迷いなく1を押せるようになりたかった。受話器を離しても耳元に残り続ける声があるように、私はいつもそんなことを考えていた。
「もしもし、それがね」
こどもの頃は、ドラマの役者たちが携帯電話で話していると、実際に電話越しに話していると思っていた。まさか電話しているふりをしているだけだなんて、そんなことは思いつきもしなかった。サントラのBGMも、その場で流しながら撮影をしていると思っていた。バラエティ番組のスタッフの笑い声だって、全て本物だと思っていた。そう信じているほうが、よほどよかった。
小説の書き出し集 ナノハナ @claririri
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