世界征服はハーレムで! 世界最高貴族である俺様、不義の子だからと追放されたが最強異能を駆使して成り上がる!

ミツメ@物書き

第1話『追放された少年』



 中央大陸中央都市『アインバッヘン』

 天を貫かんと聳え立つ摩天楼の森の中で最も高いビル。その最上階に彼はいた。


 白磁の床に豪華なシャンデリア。

 華美にして荘厳な空間には多くの人が集まっている。

 世界を統べる貴族とも称される彼らの視線はその少年に集中していた。


 輝きを放つ灰色の髪。そして同じ色の瞳。

 顔立ちは幼さを残しながらも精悍さを感じさせ、その佇まいはこの場の誰よりも自信に満ちている。

 まるで自分が世界で一番偉いと言わんばかりに。


「貴様は今日をもってロードから追放だ」


 ロードの長の言葉にレイドは首をかしげる。

 それは疑問ではなく思考するための所作だった。誰もが彼の一挙一動に注目する。利用できるか、排除するか。見極めるために一瞬も目を離さない。その中に彼を心配するものもあったが、口に出すほど愚かではなかった。

 数多の視線に物おじせず、レイドはうなづいた。


「この俺様を追放すると言ったのだ。それほどの理由があるのだろう。だから従おう」

「り、理由だと!? あれだけのことをしながら自分は悪くないというつもりか!! そもそも貴様は誰とも知らん種で孕んだ子! ロードに相応しくない!!」

「そうだそうだ! レガトリオ殿の甥だというから名前だけは貸してやったというのに、恩を仇で返すなど言語道断! 貴様は紛れもなく悪鬼の子よ! 邪神の生まれ変わりではないのか!?」

「やはり総帥、彼は殺すべきでは? この男を生かしていても百害あって一利なしですよ!?」


 やんややんやと騒ぐ中年どもの言葉に総帥と呼ばれた男は眉をひそめた。

 助け舟を出したのは総帥の隣に座る藍色の髪の男だった。


「ではそうなさるがいい。政を司るザナドゥに何ができるか見物みものですな」

「れ、レガトリオ殿。 何を……!?」


 レガトリオと呼ばれた男性はその端正な顔つきをさらに険しくする。


「不義の子と言えどレイドは我が甥。あまりふざけたこと抜かされると元シェルバーとしていい顔はできないと言っているのです」

「だがあの男は狂犬! 何かが起きて貴殿は責任がとれるのか!?」

「はて、追放される男に対し、とるべき責任とは何かな」

「くぅっ……! 成り上がりの小僧が……!」


 レガトリオの戯れた態度に、ザナドゥと呼ばれた連中が憎々し気な視線を送りながら下がった。

 ロードは主だった四つの家格が存在する。

 政を司るザナドゥロード。

 財を司るシェルバーロード。

 武を司るブライスロード。

 そして三つのロードを束ねるオーバーロード。

 レガトリオはそのオーバーロードに属している。ゆえにその発言力は大きい。

 彼は優雅に髪をかき上げた。


「すでに決はとられた。レイドの追放は決定したのです。いまさらそれを覆して処刑は有り得ません。するなら秘密裏にしていただきたい」

「道理であーる」


 ブライス家当主がうなづく。

 それに続くように他のロードも同意の意を示していく。

 こうしてレイドの追放は決定した。


 彼は独りになったのである。

 その事実を受け止め、レイドは世界貴族ロードに向けてこう言った。


「うむ。ではこれより世界征服『統世』を行う」





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