滅ぼされた邑の復興が第一歩を踏み出したことで、第1部の復讐譚からの大きな流れにひと区切りのついた本シリーズ。
この後に続く展開を盛り上げるのは難しいのではないかなと思っていたのですが、そんな心配は無用でした。
第5部では、ずっと麗央那を支えてくれた最強女子・翔霏にスポットが当たります。
彼女にかけられた呪いを解くため赴いた地で、新たな師と出会い、これまでとは違う種類の敵と対峙することになります。
災害や疫病など、人の手ではどうにもできないものに見舞われた時、その運命をどう受け止めるのか。
コロナ禍を経験した今だからこそ、肌で感じるような恐怖が骨身に沁みました。
命の理の中で生きる私たち。
何か一つでも違っていたら、全く違う運命を辿ることになるかもしれない。
制限のある中で如何に動くのかということが、退っ引きならない状況をも変えていくのでしょう。
解呪の代償を払った翔霏は、それでも絶対的に変わらない大切なものに気付きます。
開けた未来に臆することなく飛び立っていこうとする彼女たちの姿に、力をもらった気分です。
命の靭さを実感し、第6部への期待も膨らむお話でした。