023.新しい仲間

023.新しい仲間


「あ、リーナリア! 今、リーナリアのご所望の家を建ててみたよ。それと空間が白いままなのもなんだから外の風景風にしてみたんだけどどう?」


 ウェルのいう通りダンジョン部屋が外のような空の広がる空間に変わっていて、白くてシンプルな家がポツンと一つ建っている。それはいい。いいんだけど時と場合を考えてほしい。


 無邪気に笑うウェルの顔を見て沸々と怒りが湧いてくる。


「ウェル。そこに座って」


「なになに? 褒めてくれるの?」


「いいから正座しろ!!」


「やば。なんか怒ってる? 逃げよ」


「ルミナスフィールド!!」


「うわっつ!?」


 逃げ出すウェルをとわたしとを覆うように聖なる結界を展開。そしてその結界にウェルがぶつかってダメージを負う。


「どうしていつもいつも空気を読めないの!?」


「やることがなかったからついね」


「ついじゃない!! こっちは大事な話をしてるんだから邪魔しないでくれる!?」


「だけど——」


「だけどもへちまもない!!」


「ごめんって」


「ちゃんと大人しくしててよね!」


 ふう。これでウェルも少しは静かにしてるはずだ。


「すみません。お待たせしました」


「もういいのか?」


「はい。お見苦しいところをお見せしました」


「いや、それはいいんだが……本当にあれは悪魔なのか?」


 正座状態で待機しているウェルを見て戸惑いの表情を隠せないでいるみたい。さらに言えば哀れみの目で見ているような気さえする。


「悪魔ですよ。……多分」


「多分って」


 二人のそぶりからちょっとわたしも疑問に思ってくる。


「それよりバルドさんとルティナさんはこれからどうしますか?」


「どう、ですか?」


「はい。わたしたちはここで暮らす予定ですけどバルドさんとルティナさんはダンジョンを抜けて外に出ることもできますよ。ウェル。ダンジョンから二人を出すことはできるよね?」


「できるよ。二人をダンジョン攻略者として登録すればすぐにここから出られるね」


「というわけです。もちろんここに残りたいというのであればそれも歓迎です。家とか食べ物とか用意できるものは用意します」


 バルドさんとルティナさんは顔を見合わして、またわたしの方を向いた。


「俺でよければぜひここに残らせてくれ。最初は悪魔が怖かったが今はそこまで恐怖を感じないからな。もちろん俺にできることがあればなんでもやらせてもらう。落伍者の烙印を押された俺なんかの能力は高が知れていると思うが精一杯やるからここに置いてくれ」


「わたしもここに残りたいです。リーナリアさんはいい人ですし、ウェルさんもちょっと怖いけどわたしを助けてくれた恩人なことには変わりないです。ミリスティアさんとも仲良くなりたいですし。わたしなんかの祝福でできることは限られていますが精一杯やらせていただきます」


「そうですか! 嬉しいです。ぜひこれからよろしくお願いします!」


「嬢ちゃん。その敬語はやめてくれねえか? 悪魔の坊主と話してるときみたいにタメ口でいい」


「わたしもリーナリアさんとは対等な言葉で話したいかSな」


「わかりまし、わかったわ。バルドにルティナ。これからよろしくね?」


「ああ、よろしく頼む」


「よろしくね」


 そこで大人の話が終わったのを感じ取ったのか大人しくしていたミリスがこちらにトコトコとやってくる。


「ミリスも仲良くしたい」


「ミリスか。よろしくな」


「ミリスちゃん。よろしくね」


「もういいかな? 足が痺れてきたからそろそろ立ち上がりたいんだけど」


 正座をしているウェルがそう問いかけてきた。


「ウェル? もういいけど家をもう2つ作ることはできる?」


 ウェルが立ち上がるとダンジョンコアに近づいていく。


「うーん。ちょっとDPが足りないかな。またリーナリアが魔力を補給してよ」

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廃棄聖女はダンジョンに引きこもる 〜元聖女だけど悪魔を従えて無能とされた廃棄者たちをダンジョンで匿うことにします〜(旧題:廃棄聖女ダンジョン) Ryoha @ryoha2055

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