あなたとわたしの一日を

澄花

あなたとわたしの一日を

夢うつつ枕に沈み飛び起きる 今日はあなたと出かける日


言われたの青が似合うとあのひとに クローゼットも青の溢れて


苦など無き独り珈琲啜る時 待たせてでもと想われる時


ヘアワックス 想う貴方と会う時につけぬ理由わけなど一つしかない


すぐそこへランチ買うだけ整髪料 私の隣を歩くからだと


「なぜだかショートカットに目がいく」と行間を読ませるように話す君


無意識か隣並んで座るとき気づかぬうちに肩触れる距離


会う度に地元案内回重ね あなたの暮らしが沁みいるこの身


非日常ではなく日常の延長 そんな時間が楽しくて


腕に手を絡めたならば腕組んで 手と手が触れるそれだけだけど


腕に添いするり滑れば受け止めて優しく心も連れ去っていく


にぎる手は恋人つなぎじゃなくていい 爪のつけ根を優しくなぞられ


座敷席 隣座れば胡座かきテーブル下で膝と膝つく


おいしいと言わずにメニューを指差して「次来たときはこれにする」


午後十時 そろそろ行こかと立ち上がるあなたの胸に不満顔寄せ


熟路たる夜暗の峠転がして 暗いと聞けば地図を点して


横顔を見つめるときは左側 耳に空くあなただ愛おしむ


水飲んで 珈琲飲み過ぎ 早く寝て 私の好きな優しい小言


日付越え 電話がかかってきてまずい 言われる前に湯舟飛び込む


君恋し恋しや夜毎よごと目を瞑る一年ひととせ満つる瞬きのごと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あなたとわたしの一日を 澄花 @sumika-sumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画