第7話 どうも...兄です。
食卓の椅子に座っているとお茶の入ったコップを妹に渡され、俺と向かい合わせになるように妹が座る。
何故こんなに絶妙にシリアスな雰囲気なのだろうか...
妹とこの体で会ったら
「なんか女になっちゃったみたいだHAHAHA」
みたいな感じで言って茶化してから話を進めようとしていたんだが(
「えっと...お兄...なのかな?」
「YES...YES...」
アニメのネタを入れた返事を俺がすると妹は口をぽかーんと開け「これまじで兄だわ。」と妹は理解し、深呼吸するように目を閉じて...
「な゛んで女になってんの!?!?!?」
妹は机を両手で叩き立ち上がり目を大きく開け音割れしそうな声で当然の疑問をぶつけてくる。
び...びっくりしたぁ...
「いやぁ、起きたら突然こうなってて...」
妹がなんだそれと言いたげな顔でこっちを見てくるが、むしろこうなった原因を聞きたいのはこっちなんだけど!?
「まぁ、一番困惑してるのはお兄自身か...」
しばらく沈黙すると何も分かっていないことが伝わったのか、妹が口を開き小さい声でそう呟く。
はい、そうなんです!なにも分からないんです!ハハ...
「とりあえず...お兄はちょっとこっち来て?」
妹が招き猫のように手を動かしている。
ここは朱莉をこれ以上困らせないよう従っておくか...っと。
椅子を降りて朱莉に近づいてから顔を見るために上を向くのだがこっちまで来させた朱莉は何故か手で口を覆っている。
何がしたいのか分からず首を横に傾けようとすると...
「ひゃあ!」
突然妹に体を膝の上へと持っていかれ、変な声を出してしまい咄嗟に口を手で塞ぐ。
な...なにを...
「可愛くなったねお兄?」
そう言う妹の瞳の奥には、少し身の危険を感じるような物が...うぐっ...
そう思っていると先ほどより強く抱きしめられ、顔が妹の胸に埋まる。
これが男のころに夢を見たおっp...ま、待て、い...息が...
窒息死しそうになり体の力が抜けかけた時ようやく妹から解放された。
「あっ、ごめんお兄」
はぁ...はぁ...し、死ぬかと思った...
ていうか体はこれでも中身は兄だぞ!?
「あ、あのな朱莉...そういうのは・・・」
「お兄にしかこんなことしないよ」
好きな人だけにしなさい!と言いたかったのだが俺が言い終わる前に少し顔が赤くなった妹に割り込まれる、俺だけにしかしないって...この妹は何と勘違いしているのだろうか?
はぁ...そうため息を吐くともう一度抱きしめられそうになり慌てて気になっていたことを聞く。
「そ、そういえば、バルスはどうなったんだ?」
俺が質問すると妹が『う~ん』と絶妙な顔をして頭を悩ませる。
「あ~、どうなんだろ...明日の14時~16時までに再ログインしろって話だったけど...またログアウトできなくなるっぽいし、もうやらないかなぁ」
ふむ...任意のログアウトはできないのは不具合ではなく運営側の意図だった。もう一度ログインしろと言われたところで、任意ログアウトができないゲームと知られた今、誰もバルスをプレイしなくなるだろう。
「えーと...ログインしないと特殊な電磁波で死ぬとかなんとか書いてあったんだよ、脅してまでゲームをやってほしいのかな?」
小学生が考えた攻撃かな?
ほんとに運営は何を考えているんだろう...そう考えていると。
「お兄ってご飯食べたの?」
「食べたよ?」
「じゃあ、お風呂入ってくる」
そう言うと妹は俺を床に下し、一度頭を撫でてから風呂場へ走っていった。
ナチュナルに頭を撫でられた...
風呂場に走っていく妹を見て、朱莉が一日寝たきり状態になっていたこと思い出す。
ん...一日フルダイブゲームをしてあんなに元気...?
妹に、というか人にそんな体力は無いと思うのだが...
疑問に思いつつも、昨日と今日で起こった問題について話すことができたことによる安堵で深くは考えなかった。
TSしてゲームに参加したらいつのまにか最強に? トレン @torenn
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