Life81
みたのぶはる
館内放送
あら、ここに客人が来るなんて珍しいですね。いえ、迷い人、と呼ぶ方が正しいのでしょうか。なんにせよゆっくりしていってください。この館にいる限りは危険が及ぶことはありませんから。館の住人も、きっとあなたに良くしてくれます。気性が荒い子たちばかりですが、礼儀を知らない、という訳では決してございません。あなたが頼めば館内を案内してくれますので、見かけた際は声をかけてみて下さい。さて、ここは何処なのだろう、とお思いでしょう。ここは世界の狭間です。空想と現実、様々な世界を結ぶ言わば中間地点とも言えます。入り方はとても簡単で、とても気まぐれ。例えば神社の鳥居をくぐる。日陰から日向へ移る。水に向かって飛び込むなど、あらゆる境界にこの世界の入り口は点在します。最近流行りのthe back roomのようなものでしょうか。今回あなたは意図せず迷い込んでしまったようですね。大変お気の毒です。ええもう心中お察しいたします。…そんな曖昧な世界ですので、館の外は大変危険です。なので住人と同伴なしで外を出歩くのはよしてくださいね。帰りたいと仰るのであればご案内致します。あ、そうそう。私は管理室に居ますので、御用があればいらしてください。管理室は基本立ち入り禁止ですが、鍵は何時でも空いておりますので。館内の資料も、持ち込みは厳禁ですが閲覧は自由です。禁書以外はね。あれは人を喰らいますから。さあさあ、珈琲でも淹れて、ゆっくり休んでください。ここにはあなたを否定する物なんて一つも無いのだから。ようこそ、アトガキの世界へ。
Life81 みたのぶはる @mita-sann
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Life81の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます