第2話 夢
少年がまだ瓦礫の中で眠っていた時。
彼は夢を見ていた
というより
生き埋めになっているにも関わらず
寝る
夢を見る
この行為常人には
到底出来ない行為ではあるが
深く追求していたら
進まないため
そういうものとして
話を進めよう
彼は夢を見ていた
彼がいるのは
地平線上の彼方まで
果てしなく
黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒
の景色だった。
少年以外に人はなく
人は少年しかいない
このありえない事態に
少年はこう思った。
(お腹へったなあー)
ぐうーと腹の音。
少年はマイペースであった
その証拠に
変わらず
頭に大きな茶色の片角の
所々茶色の鱗がある
これがマイペースという決定的な証拠である
(なんかないかなあー、肉あればいいなあー)
そして少年は歩き始める
がしかし
どこまで行っても
黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒
であった
やがて少年は立ち止まる
誰1人として会うこともなく
孤独のまま果てしなく彷徨い歩く
体力的にも
精神的にも
限界を迎えたのか。
「肉どこじゃーーーーー!!💢」
全く違っていた
少年は怒っていた
ご飯がないことに
特に肉がないことに
肉がないことに
肉がないことに
少年は怒りに満ち溢れていたので
めちゃくちゃ大声で怒鳴り散らした
幸いなことに彼以外に
人はいないので文句を言う輩は
全くいなかった
だからめちゃくちゃ怒鳴り散らすことが
できたのであった
そのおかげで
少年の怒りは消え失せ
「…ふいー」
めちゃくちゃ気持ちよくなっていた
あれだけ大声を出したのだ
そりゃそうなる
そして新たなる思いが少年に芽生えた
(喉渇いたー)
めちゃくちゃ怒鳴り散らす
=めっちゃ喉を使う
ということになる
そう思っても仕方なかった
(水が飲みたいなあー)
と少年が思った時
目の前に手のひらに収まるほどの
小さな黄色い円状の物体が現れた。
(聞こえていますか、聞こえていますか…)
とその物から声がする。
(聞こえていますか、聞こえていますか…)
とまた同じ言葉を言う。
それを見て少年は
円状の物体に触ると
パクり
と口に入れた
「ううーん、甘い。やっぱりアメかあー」
とどうやらお菓子のアメだと思っているようだ
円状の物体から発せられた声など
全く気にしていない
というより気づいていない
「とろける~、体に染み込む~」
と少年がアメに感動していると。
(あれ、おかしいな。今食べられなかったかな?)
と再び黄色い円上の物体が。
(いいえ、きっと私の力が尽きただけなのね。最近なにかと…)
パクリ
と少年はまた口に入れて
アメの美味しさに感動していた
(いや、やっぱり食べられてんじゃねーか!💢)
と三度黄色い円状の物体がキレながら
現れた
(なんなんですかあなた、さっきから私の力を…)
と何かしら言いながらも
少年の手は物体に三度触れようとしたが。
バシュ
と触れることができなかった。
透明な何かによって遮られていた。
(あははー!どうですか、また食べられると思って魔障壁を張っておいたんですよ。これなら今度という今度は…)
パリン
となにか壊れる音がした。
その音を聞いて
(え、嘘でしょ?なんでそんなあっさり壊すことができるんですか、だって…)
と黄色い物体から慌てる声が聞こえたが
そんなことお構いなく少年は
パクリ
と食べる。
そしてそのアメの美味しさに感動する
感動に浸っている時
(お前のせいで力大半失ってここの空間維持できなくなったんですけど!消滅したくないから早くここから立ち去って! けどしばらくしたら…)
なにか話しかけられたが
少年にはなにを言っているのか
全く分からなかった
ただ一つ理解できたのは
「アメもう食べられないのー!」
最後まで食い意地がすごかった
そして起床
当たり前ではあるが
夢のことなどさっぱり忘れていた
ただ1つ分かっていること
それは
めちゃくちゃお腹が減っていること
それだけであった
イセカイジュウ 素良碧 @adgjm1
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