第6話





「ファイヤーボールっ!」

「なんでリリィちゃん火の玉なんて投げてるんや?」

『アホなんちゃうの?』

「えっ?」


リリィちゃんとゴブリン狩りにきたで。

まずは実力を見るということではぐれゴブリンと戦ってもらった。そしたらコレや。


「そんな弱い魔法なんで使うんや?」

「あの……ファイヤーボールはメジャーな魔法ですよ?」

「んなアホな」

『あ~検証ろくにしとらんパターンやな』


天ちゃんは効率ってやつをかなり気にするヒトや。ワイの練習ついでにどの魔法がいっぱい使えるかも天ちゃんが比べてくれたで。


「あのな、火の玉作ったり水作ったりは効率が悪いんや。どーんって体を強化したほうが何回も使えるし、長い時間戦えるんやで」

「わたし剣とかは苦手で……」

「なら手と魔法で普通の石飛ばした方がええで。同じ威力でも回数ダンチやし」

「そうなんですか」

『それに戦いに使わんでも、身体強化使って距離を取れるしな』

「火の玉なんて10発も撃てなんやろ?」

「5発が限度ですぅ……」

「E級冒険者ってそんなもんなんか?」

『リリィちゃんがソロでギリギリE級ってことはもっと弱いんちゃうの?』

「ええ……(困惑)」


鍛えるどころか基本から変えんとあかんようや。


「じゃあ見本見せるで」

「あの、ゴブリンに向かって普通に歩いていくんですか!?」

「あいつら群れとっても、ろくな反撃してこんからな」

『それ、ゴリラの言うことや参考にならんでー』

「……普通は隠れて不意打ちを狩った方がええな。じゃあ石投げで仕留めるで」


ぴゅんぴゅんぴゅん


「「「グギャッ!!?」」」

「こんな風に頭や首に当たれば即死や」

「そんなあっさり!?」

「慣れれば石を蹴っても魔法の力を乗せれるでー」

「「グエッ!?」」

「強いけど狙いは甘くなるから胴体を狙うんや」

「すごい……」

『ゴブリンなんていくらおってもクラの敵やない』

「日が沈み始める前に帰りたいからなー。依頼のあった場所の掃除はさっさと終わらせるで」


ゴブリンの耳回収してギルドに戻る。


「リリィどうでしたか?」

「凄かったです」

「クラフトさんの方はリリィに光るものはありましたか?」

「ダメダメやったで」


ワイの言葉にシュンとするリリィちゃん。


「でも安心しい。簡単に強くなれるからな」

「!」

「いいのですか?」

『3年やったか? リリィちゃんが冒険者をやってたのは。あの弱さで生き残るには他の力も必要やろ?』

「逆にワイは強さ以外ないからな。むしろワイのほうが助けられることが多いんやないの?」

「ふふっ。クラフトくんは思ったよりも賢いんですね」

『くん付けに変わったで?』


リリィちゃんが言うには、アンリのねーちゃんは気に入った冒険者はさん付けしないようになるようや。


「これからよろしくおねがいします」

「よろしくや」


リリィちゃんとは仲良くできそうな気がするで。宿は別だけどな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

後方師匠ヅラしていた天の声さん「ワシが育ててそうなったんやない」と言ってしまう【投稿休止中】 みそカツぱん @takumaro123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ