黄昏のケアル〜なぜ雨の日はたそがれるのか?〜

早川コータ

第1話 ケアルは黄昏れていた・・・・

ケアルは黄昏れていた。


窓の外を見ながら一人で。


『たそがれる』


とは本来は


『日が暮れる・夕暮れになる』


というような意味なのだが、それが転じて


『盛りをすぎる・全盛期をすぎる』


という意味でも使われている。


さらにそれが転じて


『淋しげな夕暮れ』


『勢いがなくなっておとなしくしているような様子』


から


『物思いにふける』


というような意味で俗に使われている。


ケアルはまだ4歳だ。


人間の年齢で考えても盛りも過ぎてないし


人生の夕暮れ時、なんて言ってはいくら何でも4歳の猫に対して失礼だ。


当然この場合の


『黄昏』は


『物思いにふけっている』


という意味だ。


ケアルは考えた。


いつもならボールで遊んだり


爪とぎをしたり


家族が出勤前の時間帯だったら


『行かニャいで』


と激しく脚に絡みついているはずだ。


何だったら机の上に置いてあるリップクリームなどの小物の2〜3個ぐらいなら床に叩き落として遊んだって良いぐらいだ。


それなのにどうして今日に限って黄昏れてしまうのだろう。


疲れているのだろうか?いや、違う。


ケアルはさらに考えた。


いつもと何が違うのだろうか?


そんなことを考えながら窓の外を眺めているといつもと違う景色が目の前に広がっていることに気がついた。


そうだ、


今日は朝から


『雨』


だったのだ。


そういえば月に数回、黄昏れてしまう日があるのだが、猫的な月経前症候群なのか?


猫なりの更年期障害なのか?


などと考えて見たがよく考えてみるとすでにその手の手術は済んでいる。


ケアルはもう一度よく考えてみることにした。


もう一度窓の外に目を向けた時、あることに気がついた。


そう、黄昏る日は全て雨か曇りだったのだ。


さらにケアルはあることを思い出した。


それはこの間テレビでどこかの大学の先生が話していた事だ。


(多くの猫がそうであるように、ケアルは人間が言っていることのおおよそは理解できるのだ)


雨の日に黄昏れやすいのは最初は濡れるのが嫌いなのでテンションが下がっているだけ、


という極めて猫的な理由だと考えていたのだが、


その番組の内容はそんな猫的な思考を根本から覆すような内容だった。


『雨や曇りの日、低気圧の日は副交感神経が優位になり動物はのんびりモードになります。


逆に晴れている日、高気圧の日は交感神経が優位になって動物は餌取りモード、


やる気や元気が出てきたり、攻撃的になったりします。』


というようなことをその見た目はポンコツそうな大学教授だか、研究所の所長は話していたのだ。


動物はもともと天候に合わせて活動したり、休息したりしているのだ。


人間に病気や不調が多いのはそれに逆らってどうしても生活しないといけない。


曇りや雨の日にテンションが下がり、やる気が出なくて、物思いにふけりたくなる、


俗に言う


『黄昏る』


状態になるのは自然なことなのだ。


そのことを思い出すと黄昏れている自分に納得がいきケアルは


『もうしばらく黄昏れてみよう』


そう言ってるかのように小さく『ニャ』と鳴き、窓の外を眺め続けていた。



っということで、


人間も動物も低気圧のときはテンションが低かったり、


おとなしく過ごしたくなるのは当たり前。


天候で仕事や学校休むわけには行かないですが、できるだけお天気に合わせた過ごし方をすると体調が崩れにくくなります。


自然にできるだけ則して過ごしましょうね。


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