しああせ ももも ざれごご

嗚呼

　私は幸（しあわ）せ者（もの）である。

　私が幸せ者であるという根拠はこれといってないが、不幸を感じたことがない、感じとることができないので、おそらく幸せ者だろう。ただ何となく生きているだけでも、幸せを感じとれる。常に晴れである。嗚呼、幸せだ。この気持ちは誰にも分からないだろう。

　この頃、不幸である人が多いように感じる。生きづらさを歌う者もいれば、苦しさを絵にぶつける者もいる。SNSなんてものを開けばもう地獄だ。何故？そんなことをしても幸せにはなれないのに。きっと、不幸から逃げるだけの、傘も無く雨宿りもできずに走り続けるような生活をしているのだろう。その気持ちが毛ほども理解できない。

　私がどうして常に幸せなのか？それはどんなことでも、プラスの出来事と考えているからである。誰かに怒られたら？自分の過ちを正してくれる人を持てて幸せだ。体調を崩してしまったら？今まで健康であった証拠である。誰かが死んだら？それは…………………不幸………？いや、全ては幸せに……

　…どうやら、私も不幸を避けているだけに過ぎないらしい。全部を幸福に変えるのは不可能だ。そのうえ、幸せ者は不幸者を理解できないし、不幸者は幸せ者を理解できない。私は孤独なのだろうか。いや……

　私は幸（しあわ）せ者（もの）である。

　なにやら目からしずくが垂れてきたが、見えないふりをした。