面白い夢物語

語りで最初に不可欠なのは「これから面白い話が始まるな」という雰囲気作りですね。それがなければ誰だって長話に付き合う気も、真面に聞こうという気も起きないでしょう。
寄席などは、すでに場自体が「これから面白そうな話が始まるな」という感じを持っており、場にいる観衆は静かにして聞く姿勢を整え、今か今かと話し手が口を開くのを待っているものです。

皆さんは読む気が起きる面白そうな小説というものをどこで判断しますか? 
題名でしょうか。筆名でしょうか。星の多さでしょうか。実際に読んでみた者の感想を聞いてみるのもいいかも知れません。まあ、それはこのレビューが保証しようとするものですが。読むかどうか決めるのに、それよりも確かなものがあります。

この作品には最初の頁にそれが書いてありますので。

1ページを開けば、語りのその軽妙さに目を引かれ、後は物語がするすると夢心地に語られる事でしょう。
ご安心を、読了までは一眠りする程度の感覚です。
ではでは、皆様がた。ゆるりとページを開き、めくるめく面白い悪夢を体験してみようではありませんか。