「地球人の少女・結杏」、「最新鋭ロボットのMINE」、「宇宙を旅する甲殻生物(見た目は黒ウサギ)のミーちゃん」の宇宙船3人旅は、異文化との出会いの連続。それも、環境、生態、生物としての構成物質や構造レベルでの。
ご近所の火星から始まり、多様な極限環境で進化した異星文化と出会い、その土地の料理を楽しむ。
異なる出自を持ちながら、この旅こそを居場所とする彼らの賑やかで楽しい、ちょくちょく命の危機にも陥るグルメ紀行。
水棲生物やケイ素生物、粘体、機械生命体、ガス状生命体など、SF小説やアニメで見た遠い存在が、食事を通して身近でリアルに感じられるのも本作ならでは。
蛋白質に体液の詰まった一般的地球人類、それとは異なる味覚と消化器官での食事風景は時に羨ましくも思え、旅する「みんな」のみならず読者の価値観も広げてくれます。
これは良作宇宙SFです。