この二人のことを、これからもずっと目で追っていたい

 何気なく読んでみた本作。本当に面白かったです。溢れ出る言葉選びの良さと情景描写。そして、心が温かくなるストーリー。こんな作品、書きたいなあ。
 ひょんなことから出会った二人。他人の目を気にしない沖平と、他人の目を気にしてしまう秋山。全く違う性格。けれど、二人には本という繋がりがあった。交流を重ねるうち、沖平は秋山の心にある闇を知る。冷たいながらも、寄り添ってくれる沖平に秋山は……。突如訪れる不穏。二人の間に入る亀裂。迎えた文化祭で二人はどんな行動に出るのか。二人をこれからも目で追いたい! 切実に!!
 第十五話の掛け合いには目がウルッとしちゃいました。人目を気にしない沖平だからこそ、ああいうことができるんですね。あの時の秋山の心情を想像するだけで……あ、まずい。また視界が滲んできました。
 あと、言葉選びを参考にさせていただきたいです。「鏡に映る青年の末路は、きっと救いようのない虎に化けることだった。」自分にはここまで上手な言葉選びはできないので。うーん。精進します。
 本当に素敵な作品を読ませていただきありがとうございました。