第5話
茫然自失って感じのギルマスに話しかける
「あのー、祖父がアイゼンさんの恩人とは聞きましたけど、イヴァンさんも祖父と知り合いなんですか?」
「ふぅ、取り乱して申し訳ないね、私とアイゼンは同じ部隊で30年前に勇者様に救われてね、その後も何度も助けられたものさ、投也君は剣磨様が勇者だと知っていたのかい?」
「いえ、今日知りました、祖父は立派だったんですね」
爺ちゃんは色々な人を助けてたんだな
「今日か、それだと宝石の勇者神石剣磨様がファース王国にとって救国の英雄だと言う事も知らないって事かな?」
「救国の英雄?」
人助けレベルかと思ったら国救ってた!
爺ちゃんヤバイな…
「投也君は知っておくべきだから簡単に説明させてもらうね、35年前神の気まぐれで世界に108のS〜SSSランクダンジョンが誕生したんだ、ファース王国には25のダンジョンが誕生し対応しきれずに、スタンピードが発生、魔物の侵攻を何度も受けて疲弊しきっていたところに現れたのが冒険者として活躍していた剣磨様のパーティーだったんだ。それから各所で侵攻があると聞けば、どんな場所にも駆けつけ多くの人々を助けたのさ、結果、私達も助けていただき、最終的に29年前に各国のSランク冒険者や剣磨様の活躍で全ダンジョンを攻略したんだ。その内、剣磨様がファース王国の全ダンジョンを含め70のダンジョンを攻略したのさ」
「祖父は凄い人だったんですね…」
70のダンジョン攻略とか化け物だな爺ちゃん
「本当に凄い人さ、今の話でも分かる通りファース王国以外でも活躍していてね、神石剣磨と言えば尊敬と畏怖を念を込めて宝石の勇者と呼ぶのさ、あと剣磨様が現れればSランクの魔物も逃げ出すと言われていたしね」
Sランクの魔物が逃げ出すは比喩だろうけど
爺ちゃんどんだけ強いんだろ
「アイゼンさんとイヴァンさんも強いと思うんですけど、当時の祖父と対戦したら勝てますか?」
「ガハハハ!瞬殺されるだろうな」
「そうだね、瞬殺だね」
国の上位に位置するだろう騎士団長とギルマスを瞬殺!?
「そんなにですか?」
「勇者ってのはそれ位、規格外なのさ」
イヴァンさんが肩をすくめながら言った
「他に勇者はいないんですか?」
「いるよ、把握してる限りでは世界に56人はいるね」
「56人!?多いですね…」
勇者インフレ…
「ここ数年で増え始めてね、剣磨様の時代には1人だったんだが、ダンジョン乱立のような災厄の再来が有るんじゃないかと世間では言われているね」
「勇者って名乗るんですか?誰かが決めるんですか?」
「名乗ってなれるものではないよ、階級で勇者と表示されることで認められるんだ、剣聖が翌日いきなり剣の勇者なったケースもあって基準は不明なんだよ。もしかすると今後、投也君が勇者になることもあるかもね」
「勇者ですか、自分がなれるイメージがありませんね」
ステータスは優秀だけどユニークスキル石だしな
「まぁ、今はイメージ出来ないだろうけど、投也君は剣磨様の孫となれば誰でも期待してしまうものさ、私もアイゼンも期待しているしね、プレッシャーをかけるつもりは無いけど、投也君は只の転生者として見られず剣磨様の孫と見られる可能性が高いから、ある程度覚悟していた方が良いよ」
いや、かなりプレッシャーなんですが…
でも先に知れていたのは良かったかな?
「分かりました、覚悟しておきます」
「ギルマス、良い時間になってきたし、そろそろ手続きとか進めようぜ、投也に飯も奢る約束してるしな!」
「そうだね、移動しようか、それと夕食には私も参加させてもらっても大丈夫かな?」
「お!ギルマスの奢りですか!やったな!投也!!ご馳走様です!」
「まったく、相変わらず調子がいい奴だな、まぁ、良いだろ、投也君も良いかな?」
「全然問題ないです!ご馳走様です!!」
「そうと決まれば手早く進めよう、手続きの場所に移動するからついてきてね」
「はい!」
ギルマスの後ろに続き受け付けに移動する
さっきの美人さんが待ってるな
「ウルカ、彼の新規手続きを頼む」
「分かりました。先程は自己紹介が出来ていませんでしたので、先に自己紹介をさせていただきます。私は総合ギルド冒険者部門窓口担当のウルカと申します。本日はよろしくお願いします」
見惚れるくらい綺麗な所作だ
「私は神石投也と申します。転生者です。よろしくお願いします」
「神石…神石様ですね分かりました」
勇者と同じ苗字ならひっかかるよね~
「あー、苗字だと色々目立ちそうなので投也と呼んで下さい」
「承知致しました。投也様と呼ばさせていただきます」
美女に投也様とか言われると照れるな
「書類等の記載は必要ありませんので、こちらのパネルに手を置いていただけますでしょうか」
タブレットだよな?
「こんな感じですか?」
「はい、大丈夫です。5秒程お待ち下さい」
画面が明滅し『ピー』とブザーが鳴り終了したようだ
「現在をもって、投也様のデータが世界とリンクしました」
え?個人情報ダダ漏れ?
「ステータス情報とか誰でも見れてしまうんですか?」
「いえ、リンクはされましたがギルド側で確認出来るのはギルドランクと階級、レベル、ユニークスキルのレベルだけです。ユニークスキルはスキル名も表示されません」
「なるほど」
それなら問題ないかな?
「それでは、こちらのカードの受け取りをお願いします」
トレーに入れられたケースに入ったカードを手に取り革のケースから取り出し確認する
両面シルバーで表にGと大きく書いてあり、その下に石の勇者と書いてある…
勇者!?
「そちらのカードがギルドカードになります。表面は現在最も高いランクとギルド名、階級が表示され、裏面に氏名と各ギルドランクが表記されています」
「はい」
冒険者ランクG、他は登録してないからギルド名だけでランクはブランクだ
勇者の事は黙ってるか…
「依頼を受ける際はギルドカードが必須となります。また、カード発行に併せ個人口座が開設されました。これにより成功報酬の振込と店舗でのキャッシュレス決済が可能となっています、また、転移者の方には支度金として10万Gが振り込まれていますので、紛失には気を付けていただくようお願い致します」
ハイテクや支度金は有り難いな
「無くしたり、盗難にあった場合は他人に悪用される可能性はありますか」
「登録者の方でないと使用出来ない仕組みになっておりますので悪用される心配はありませんが、再発行には10万Gが必要となりますので、注意が必要です」
支度金もだけど10万Gって、いくらだよ…
「登録手続きは以上とります。続いてこちらの冊子を読んでいただくよう、お願い致します」
渡された冊子の表紙には『読まなきゃ絶対損する異世界知識』と書かれている、何かふざけてる?
ページ数は少なく数分で読み終えた
要約すると
・ようこそ異世界へ!!
・残念!知識チートは大体終わってるよ!
・お金は1Gが1円と考えればOK!
・蘇生薬は馬鹿高いから命は大事に!
・俺TUEEEは恥ずかしいから自重しよう!
・他の転移者、転生者とトラブルを起こさない!
・元の世界には戻れるけどハードル高いよ!
転移者が多いから、こんな冊子作ったのかな?
「読み終わりました」
「以上で、新規登録は終了となりますが質問はありますでしょうか」
「この冊子は返却ですか?」
「そちらはお持ち帰りいただいて結構です」
「わかりました、他に質問はありません、ありがとうございました」
記念に貰って行くか
「終わったかな、本来はこの後にスキル講習行うんだけどね、時間も遅いから明日で良いかな?」
少し離れた所でアイゼンさんと待っていた、イヴァンさんが声をかけてくる
「お任せします。遅くなると職員の方も迷惑でしょうし」
「ギルマス行こうぜ!腹減っちまったぜ!!投也も腹減っただろ?」
確かに色々有り過ぎて忘れてたけど腹減ってるな
「そうですね、お腹空きました」
「あのー、皆さんでお食事に行かれるんですか?」
ウルカさんがイヴァンさんに話しかけてきた
「そうだね、3人で食事に行く約束をしていたんだよ」
「私も御一緒してよろしいでしょうか?」
「私は問題ないけど、2人はどうかな?」
「俺は全然問題ないぜ!」
「私も大丈夫です」
美女がいた方が良いでしょ!
「ありがとうございます!」
ウルカさんの笑顔が眩しい!!
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人物紹介
ウルカ 21歳 163cm 金髪ロング
はじまりの町総合ギルド冒険者部門受け担当
お淑やかなイメージだが2年程冒険者の経験あり、最終的にDランクで早々に引退しギルドに就職したが、実際にはCランク相当の実力があったと噂されている。
冒険者からモテているが、上手く躱している。
親しくない冒険者相手には『様』付け、親しい相手には『さん』『君』付けとなる。
石の勇者 スキル《石》で大概は楽勝です? @Evi36
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