第4話 『階段を降りて行く』⇒『会談をリテイク』

「女子会ってあるじゃない?」


「はあ。」


「男子会ってのは有ると思う?」


「……。」


「……。」


「……無い、んじゃないかなあ……?」


「有る!」


「ほう。」


「男子会は、存在する!」


「その心は?」


「あれは、今をさかのぼる事、小学生の頃の話。」


「結構前ね。」


「その日、わたくしことノゾミちゃんは、学校が終わり、さあ帰るかと階段をテクテクと、そう! テクテクと降りて行く所なのでありました。」


「……。」


「すると、階段裏の三角に空いた小さな隙間に寄り集まって、何やらコソコソと、秘密会談に臨む男子たちの声が!」


「……………………………………まさか…。」


「そう、彼等はクラスの好きな女の子の名前を告白し合うという、ビッグなイベントの真っ最中! これを男子会と言わずして他に何と言うのかあ~!」


「あああああああああああああああああああああああああ! やっぱりぃ~~~~~~~~~~~~~~! 聞きたくない! もう、これ以上聞きたくないいいいいいいいいいいい~!」


「まあ、聞け(ジットリ)。」


「ハイ……。」


「ちょうど私が通り掛かった所で、お鉢が回って来たのか、おもむろに語り出したのが、目の前の誰かさんでしてねぇ~?」


「ギャ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!」


「気配を殺して聞き耳を立ててみるとぉ~? おんやぁ~? 聞き間違いかなぁ~? やけに聞き覚えのある名前が私の耳にぃ~。」


「ホッ、ホァ~~~~~~~~~~~! ホァッ、ホァッ、……ホァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!」


「あっ、御免、まさかそこまで恥ずかしがるとは思ってなくて……、いや、ホント、御免て……。」



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「落ち着いた?」


「誰のせいだよ、誰の……。それにしても、段々思い出して来たけど、あの時他の連中には結構不評だったんだよなぁ。何であんなガサツが服着て歩いてるような奴、とか、何であんなリアル、シン・ゴジラがとか……。」


「ウン、全員畳んでやろかとオモた。」


「そういうとこだゾ、ホント。」 


「でも、」


「ん?」


「聞いてないんだよねぇ~。」


「何を?」


「他の連中は、結構事細かに語ってくれたんだけどねぇ~? 好きな子の好きなトコ。」


「……。」


「聞いてないんだよねぇ~。」


「いや、その。」


「リテイク。」


「え?」


「だから、リテイク。」


「今、ここで?!」


「そう。」


「い、いや、流石に本人目の前にして言うのはちょっと…。」


「ホンッ!」


「はい?」


「本人、本人かぁ~、本人ねぇ~エヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘへへへへへへ。エヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘへへへへへへ。」


「何か壊れた……。」


「ぃ今のに免じてぇ⤴、今日ここで追及するのは無しにしてあげよう。ピュアな少年の心をこれ以上弄ぶのも何だしねぇ~。」


「そうして下さると、助かります、ホント。」


「何時でもいいよ? あ、でも出来れば私の生きてる内にしてくれると嬉しいな?」


「気が長すぎるって…。ちゃんと近いうちに言うから。」


「オッ、言ったな? 云ったな? 言いましたね?! もう取り消しは効かないゾ?」


「しまった、また嵌められた……。」

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誤植で遊ぼう! 色街アゲハ @iromatiageha

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