第2話 変な目で見られる

次の日


俺はいつもより早く学校に来た。具体的には一時間ほどだ。いくら何でも早すぎだろって自分でも思ったが、しょうがない。誰もいないうちに学校に来る必要があった。俺は、昨日プリントしたチラシをクラスメートのげた箱全部に入れた。これ、さすがにみんなに見られながらやる勇気はなかった。

先生にばれないかびくびくしながらなんとか全員に入れることができた。


「やっちゃったよ…」


あんま目立つことをやるタイプではないので、正直かなりビクビクしている。けど、これもお金のためだ。


俺はみんなが来るまで教室で適当に時間をつぶした。


三十分くらい経っただろうか。少しずつ教室にクラスメートがやってきた。そしてそのほとんどが俺のことを変な目で見てくる。まぁ、そりゃそうか。


「お~い、春樹く~ん」


誰かが俺に声をかけてきた。いや、あえてこう言おう。声をかけてきやがった。


「黒橋。どうしたの?」


黒橋垣根。世に言うクラスの一軍陽キャってやつだ。話したことないのでこんなこと思うのもあれだが、正直苦手だ。


「これ、お前入れたのか?」


例のチラシを見せながら俺に聞いてきた。彼の後ろには、彼と仲のいい男子がニヤニヤしながらこっちを見てきてる。やめてくれ気持ち悪い。


「うん、そうだけど」


すると後ろのやつらが噴き出した。もう少し耐えろや失礼だな。


「お、おう、まじか」


黒橋は少し引いていた。こいつ、意外とまともだ。


「なんでこんなことやったんだ?」


「金欠対策」


「バイトしろよ」


「やりたいバイトなかった」


「そうか。依頼来るといいな」


黒橋は少し引いたまま友達のところに行った。




放課後


先生の帰りのあいさつが終わって、今日もそれぞれがそれぞれの目的地に向かった。結局今日は依頼なかったな。初日だからしょうがないんだろうけど。けどこのままじゃ金稼げないぞどうすれば…


「青山、ちょっといいか?」


一ノ谷先生がいきなり声をかけてきた。まさかの二日連続かよ。


「はい、なんですか?」


「これ、本当に君がやったのか?」


先生は例のチラシを俺に見せながら言った。なんで先生が持ってんだよ。けど、別にわざわざ隠すことでもないな。


「はい、俺がやりました」


「自分の意志でか?」


「はい。自分の意志で」


「まじか…」


一ノ谷先生は頭を抱えた。


「いや、たしかに俺バイトしたら?っていったよ?けどさ?これはちょっと違くない?」


「そうですかね?」


口ではそう言いつつも心では「ですよね」と思っていた。


「いや、だって、こんなの依頼来るのか?確か青山、彼女できたこと…」


「それ以上言わないで下さい」


「あハイすいません…」


「それで、このバイト、何か良くないですかね?」


「いや、良くないっていうか…」


一ノ谷先生はかなり困ったような顔をしている。


「ならいいじゃないですか。じゃあ、さようなら」


「あ、ちょっと…」


俺は一ノ谷先生の声を無視して教室を出た。すいません、一ノ谷先生。


しかし、先生の言う通り、依頼は来ていない。金が稼げない。どうすれば…


俺はどうしようかと思いながらげた箱まで来た。そのまま自分のげた箱から靴を取り出そうとしたときだった


「ん?なんだこれ?」


げた箱の中に何かが入っている。取り出してみると、何かが書かれた紙だった。それには、こんなことが書いてある。


【チラシのことについて、話したいことがあります。駅前のハンバーガー屋で待ってます】


…え?これ、依頼か?まさかこんな早く来るとは思ってなかったからめっちゃうれしい。


俺は、走って駅前のハンバーガー屋に向かった。

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恋愛応援バイト、始めます あつかち @atukati0808

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