最終話:もう実体化頑張らなくても・・・。

「まあいいわ・・・朝メシ作るから」


「私もお手伝いします」

「そうお?・・・じゃ一緒に作るか」


そんなやりとりをしていると・・・。


「ピーンポーン」


「え〜こんなに朝早く、誰だよ」


「ピーンポーン」


「わーった、わーった」


無視するわけにもいかず俺はしかたなく玄関のドアを開けた。


「おはようございます叶多さん」


「やっほ〜叶多」


馬草把うまくさわさんに未瑠奈みるなさん・・・」


真っ赤なバラの花束を抱えた馬草把うまくさわさんと未瑠奈みるなさんだった。


「叶多さん、私、めでたく生き返りました」


「え?そうなんですか」

「それはおめでとうございます馬草把うまくさわさん」


「こいつ、生き返ったとたんに望美さんに会いに行くって聞かないもんだからさ」

「ついでだから私も一緒に来ちゃったわ」


未瑠奈みるなさんがそう言った。


「あの望美さんは?」


「今、瑠奈といっしょに朝飯作ってるけど」


「お邪魔しても?」


「うん、上がって」


「それじゃお邪魔します」

「おはようございます、望美さん」


「あ、おはよ、馬草把うまくさわさん・・・なになに?


「これ、プレゼントです望美さん」


そう言うと馬草把うまくさわさんはバラの花束を姉ちゃんに渡した。


「望美さん、私生き返りましたので、もう幽霊じゃありませんから」

「だからよかったらですけど私と結婚していただけないでしょうか?」


「え〜・・・け、結婚?・・・まじで?」

「私、苗字が馬草把うまくさわになるわけ?」


「男いない歴長いんだから、ちょうどいい機会じゃないか、姉ちゃん」


「私も賛成」


「瑠奈ちゃんまで・・・」


「だって馬草把うまくさわさん、いい人ですもん」

「お姉さんには幸せになってほしいし・・・」


「参ったわね・・・」

「プレゼントはもらっとくけど、ちょっと考える時間ちょうだい」


「いつまでもお待ちしてます、望美さん」


まあ、そんなわけで俺んちに最高の平和と幸せがやってきた気がする。

なにもかもが丸く収まって、瑠奈も同じことを思っていたのか俺の顔を

見て嬉しそうに笑った。


「ふたりともよかったな」


未瑠奈みるなさんはそう言って俺と瑠奈を抱きしめた。

未瑠奈みるなさんが離れたあとも俺は瑠奈にしがみついてチューした。


「あ、叶太、ひとつ言い忘れてたわ・・・私の彼氏がさ・・・復活とか転生

とかに詳しい人でさ・・・んで、聞いてみたんだわ」


「なにを?」


「一度、死んだ人間は、いくら生き返らせても別の事故に見舞われてまた

必ず死ぬことになってるんだって・・・だからもし生き返れたとしても一時だけ」

なんだって・・・彼氏が・・・」


「あの、未瑠奈さんの彼氏って?・・・」


馬草把うまくさわさんが未瑠奈さんに聞いた。


「閻魔・・・私の彼氏・・・閻魔だよ・・・」


「え〜〜〜〜〜うそ〜〜〜〜〜」


「え?・・・えんま、さま?」


「つうかさ、未瑠奈さん今の話まじな話?」


「まじ、まじ・・・叶太、残念だけどな・・・」


「じゃ〜瑠奈は、また何か事故ってあの世に行っちゃうのか?」

「うそだろ・・・・せっかく生き返ってのに・・・やったこと全部無駄じゃん」


「叶太、私、また死んじゃうの?」


「今の話だとそうなるな」


「え〜・・・じゃ今のうちにエッチしとこうよ、叶太〜」


「あのな〜・・・」


「あ、そうそう、これはおまけだけど、瑠奈ちゃんはもともと死ぬ運命

じゃなかったんだから、たぶんもう死なないでそのままなんじゃないかって

・・・彼氏が」


「え〜・・・なんだよ・・・それを早く言ってくれないと・・・」


叶太はホッと胸をなでおろした。


「まあ、そう言うこったから・・・私、あの世に帰るわ・・・彼が寂しがって

るからね」


「閻魔が?」


馬草把うまくさわさんがボソッと言った。


「おまえら元気でやれよ・・・んじゃ〜な」


未瑠奈みるなさんは、ひとりひとりにハグしてあの世に帰って行った。


「叶多、あとは私たちの番だよ・・・今夜ね・・・エッチしようね」


「おう・・・瑠奈にたっぷりドレッシングかけて美味しくいただこうかな」


「ね、言ったでしょ・・・だいたい恋人同士って最後はめでたくエッチして

ハッピーエンドで終わるって・・・」


「だな・・・もう実体化頑張らなくていいぞ」


おしまいですっちゃ。

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彼女は異なもの味なもの。*帰ってきちゃった* 猫野 尻尾 @amanotenshi

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