断章「幕間と、未来と、作戦会議」 4
シャッ、と一瞬で目の前の敵を
「い、いちご……」
背後でゆかりの声がする。しかしユズは声に反応せずに、あっという間に再生をした敵に更に斬りかかる。
(もっと速く!)
素早いその攻撃に、敵はばらばらに崩れ落ちる。だがまたすぐ、目の前に元の姿で立っている。さらに斬撃の速度をあげる。だが無駄だった。
(四号が言った通りか。なにかあるな、こいつ)
では今回は。
(六号から引き離すか)
やることは決まっている。仲間にも指示を出した。あとは、それをやり
右足に力を入れて、思い切り左足で虚人の腹部を蹴った。衝撃で敵は吹っ飛んだ。この
ユズは追いかけるように刀を構えて跳び出した。
*
瞬時に清史郎は両手を広げる。周囲に無数の輝くメスが浮かんでいる。
(さらに数を増やす)
二倍、三倍と数がどんどん増えていく。それが雨あられと降り注ぎ、虚人を襲った。細切れにしたが、やはり、効果がない。
(ユズさんほどの破壊力を刃物には乗せられないか。銃弾のほうがまだ可能性は高いか)
清史郎は少し考えるように視線をずらした。だがそれは、油断ではない。右足を後ろに少しさげ、左足で虚人の頭を蹴り飛ばしていた。まるで霧のように、
(体術だと、ユズさんと五号ほど出力が出ない。でも、それでも三番目ってとこかな。そこそこ使い物にはなるけど、決定打にはならない)
「は、ちごう?」
戸惑いの声に、清史郎は肩越しに背後を
今はそう、まだ、その時ではない。
*
(やっぱりあの二人は別格か……! それとも、なにか理由があるのか……どっちにしろ、やるべきことをやるだけだ!)
背後の六号を
ちら、と悠一は視線を動かす。
当然だが、戦闘能力が高いほうが前に出るのはいつものことだ。ここに一号がいれば、真っ先に飛び出すのは彼女だ。そして今、横に立っている五号もだ。二人は戦闘スタイルこそ違うし、気分に
八号は自分と同じ遠距離の武器を具現させるが、それは一号がいるからだろう。銃というのも、わかりやすい。「援護射撃」というわけだ。
五号が虚人を地面に殴り倒している。だがやはりその再生能力に攻撃が追いつかない。五号が舌打ちしている。
空へと視線を向けるが、なにも見えない。まったく感知もできない。けれど、『なにかが』あるのだけは確かなのだ。
うまくできている、と苦笑いしそうになる。この敵を相手にするには、全員でかからなければ無理、というわけだ。ただ攻撃能力があればいいというわけでもない。一人に重責を押し付けてもなんとかなることではない。正真正銘、全員で、やらなければならない。
(視認すると目がやられるなら、一号と八号が同時に『見れば』その威力が半減するかもしれない。片目でも残っていれば、一号は継続して戦える。そして八号は、その危険を承知してる。あいつイカれてるな、本当に。オレは痛いのも、想像するのも、嫌だってのに)
そう。
(きっと、虚人が七号を選んだのはオレたちを殺すためなんだろうな……!)
偶然ではない。必然だった。
それほどまでに
こちらを
『ここ』は、おまえの世界じゃない。
***
『時』はきた。全員が、
「行くぞ」
――さあ、
REvision ともやいずみ @whitemozi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。REvisionの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます