真摯な態度

レビュー投稿者なりの例を挙げよう。あなたは濃厚な「濡れ場」を描こうと考えたことがあるだろうか。そうである場合、現実のあなたが考えているのと同じように、登場人物に「対策(予防)」をさせるだろうか。自分は何かしらの描写によって間違った知識を流布しているのではないか、と執筆者としての葛藤のある人がいるはずだ。それとも、自分は架空の物語の創作をしているだけなのであって、あなたにそんな葛藤がうまれるはずはないということになるのであろうか。執筆をすることは「価値判断」の連続である。上でレビュー投稿者が挙げた例だけではなく、或る登場人物が或る出来事をどう感じたとどのように描写するか、それもまた「価値判断」の結果である。この文書で著者は、執筆者の葛藤は文体に反映するものだということを豊富な(著者自身による)文例によって解説しようと試みている訳だが、そのことにより、この問題設定への著者自身の真摯な態度が表れることになってもいると思う。